ズーノーシスって知っていますか?
もしも、ペットと暮らしているのなら知っておいてほしいペット感染症(人獣共通感染症、動物由来感染症)のことです。
世界では200種類以上、我が国日本でも30種類はあるといわれているんです。
まだまだ聞きなれない名前ではありますが、イヌやネコからも感染することも。
中にはペットにはほとんど症状が出ず、人間だけが重症になる病気もあります。
もう一度ペットとの接し方を見直してみて。
ズーノーシスとは
ズーノーシスとは、狂犬病、猫ひっかき病、などを代表とした犬やペットの動物から感染する病気の総称です。
予防接種や治療方法が確立されていないズーノーシスも数多くあります。
ペットとともに暮らしているのなら、自分で自分自身の身を守る必要があります。
最近ではペットを室内飼いすることが主流になっているので、密に接触することも増え、ペットが保有している病原や細菌に感染する確率も高くなっています。
例えば、「カプノサイトファーガー」という細菌は、犬の約70%、猫の約60%が保有していると言われています。
ペットの犬や猫に噛まれたり、引っかかれたりして稀に感染するケースがあります。
このズーノーシスは発症すると致死率が3割と、とても高い怖い病気です。
その他にも、経口感染する長期倦怠感や頭痛が起きる「Q熱」、噛みつかれたり引っかかれたりして化膿したり肺炎を引き起こす「パスツレラ症」などもあります。
可愛いペットと暮らす飼い主は、うちのコは綺麗にしているから大丈夫、という心理がどうしても働いてしまいがち。
でも、それは思い込みに過ぎないことを忘れないで。
発症しない人は、あくまで免疫力が働いているからであり、ズーノーシスは子供や高齢者、糖尿病患者など免疫力の弱い人ほど発症することがわかっています。
ズーノーシスにならないための5つのポイント
可愛いけれど過剰なスキンシップは要注意!
1.口移しで食べ物をあげない
可愛いあまりについ、ペットに口移しでおやつなどをあげてしまう飼い主さんがいますが、これは絶対に避けましょう。
特に家から外出が自由なペットは、外で何を口にしているかわかりません。
衛生面でももちろんですが、躾の面からみてもこれは望ましくない行動。
可愛い眼差しについキスしてしまう、などということもやめましょう。
犬や猫のほとんどは、口腔内常在菌として皮膚の化膿や呼吸器系疾患などの症状をも引き起こす「パスツレラ症」の病原体を持っているといわれています。
抵抗力の弱い赤ちゃんや高齢者には特に気をつけましょう。
2.猫のひっかき傷は注意が必要
猫に噛まれたり引っかかれたりすると、雑菌が入って少し腫れることがあります。
その上、倦怠感や局所のリンパ節が腫れたり高熱が出た場合には「猫ひっかき病(バルトネラ症)」かもしれません。
猫ひっかき病(バルトネラ症)は、数日から2週間程度の潜伏期間があるので経過観察も重要。
猫の歯は鋭く、皮膚がスパッと切れやすく奥まで届いてしまうので、猫からの感染が多いのです。
また爪も同様で犬よりも猫のほうが鋭いため、バルトネラ症感染例が多いといわれています。
猫の爪は短く切っておくように心がけて。
3.散歩後はペットの足を清潔に
表で走り回った場所に病原体がいることもあります。
砂場などに放置された動物のフンには回虫の卵がいることが。
もし、それを飼っているペットが踏んでいたら大問題。
人間の体内に回虫が入り込むと、幼虫や内臓や目に移行して様々な症状を引き起こします。
このケースは稀ですが、散歩後はペットの足をしっかりと拭いて清潔にしましょう。
ただし、犬の足はとてもデリケートなので、洗って放置はやめましょう。
指の間や肉球部分が荒れてしまうこともあります。
散歩後はペット用のウエットティッシュなどで優しく拭くのがおすすめです。
4.ペットは飼い始めが肝心
もしも、子猫を拾ったら体の状態をよく見ましょう。
丸く一部が脱毛していたり、爪の生え際が赤茶けていたら「皮膚糸状菌症」かもしれません。
これはカビや水虫の一種で子猫にとても多い病気です。
皮膚糸状菌症は、健康な成人にはそうそう感染しませんが、女性はうなじなどの柔らかい部分に環状の発疹がでることもあります。
猫を拾ったら、まずは動物病院で診てもらいましょう。
また犬の場合は、狂犬病の予防接種は義務。
混合ワクチンもしっかりと摂取させましょう。
5.ペットの皮膚病はすぐに受診
ズーノーシスではありませんが、いわゆる猫アレルギーや犬アレルギーは大抵の場合剥がれ落ちたフケを吸ってしまうことで起きるといわれています。
吸引量が増えれば、アレルギー発症のリスクも高まります。
ペットに皮膚病があれば、それだけフケ(上皮)も多く剥がれ落ちるので早めに治療してあげましょう。
フケは毛と一緒に落ちる上皮も多いので、ペットの抜け落ちた毛はすぐに掃除しましょう。
そして、ノミやダニも注意しましょう。
疥癬(かいせん)は一時的ではありますが人にも感染します。
マダニが媒介する「Q熱」は人間に感染すると高熱などのインフルエンザのような症状が出ることもあります。
ズーノーシスを注意したい動物とは
犬や猫だけでなく、他にもズーノーシス感染に注意してほしいペットがいます。
・鳥
鳥を飼う際にはオウム病に注意しましょう。
インコなども菌を保有しています。
フンが渇いて粉状になったものを吸ってしまうと感染することがあります。
オウム病の症状は、発熱、全身の倦怠感など。
また、成人のほうが子供よりも発症しやすいといわれています。
・みどり亀
急性胃腸炎状の食中毒を引き起こす「サルモネラ菌」を保有していることが多いので、飼育している「水」には大量の菌が存在している可能性があります。
みどり亀を触った後は必ず、十分に手を洗うようにしましょう。
・ハムスター
犬や猫と同様に、ハムスターのフケ(上皮)によるアレルギーもあります。
また咬まれたことが原因となってアナフィラキシーショックを起こすこともあります。
ハムスターをペットにしたいと考えるのなら、まずは正しい知識を身につけてから家族の一員に迎えましょう。
ペットと楽しく暮らすためにズーノーシスを回避しよう
私自身、犬も猫も飼っていたことがあります。
どちらも寿命までずっと私に寄り添ってくれた、可愛くて仕方のない相棒でした。
そして、ズーノーシスのことなど考えもせず、夜は一緒に眠ってキスしたりもしていました。
幸い、私がズーノーシスになってしまうことはありませんでしたが、小さな子供もいる今、改めてズーノーシスについて調べて良かったと思っています。
可愛いペットと長く暮らすためにも、ズーノーシスにならないようきちんと把握して付き合っていきましょう。
決して途中でその小さな命を手放すようなことはしないで。