避妊対策で飲む経口避妊薬(低用量ピル)が、実は妊活にも有効という噂。
30代後半を迎えた私のまわりで、ピルを飲み始める未婚女性が増えています。
気になるこの噂の真相・理由を検証します。
そもそもピルってどんな仕組み?
ピルを服用することで避妊ができるのはなぜでしょうか?
ピルには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の
女性ホルモンが含まれています。
ピルを飲んで血中のホルモン濃度が上がると、その情報が脳に伝えられます。
そうすると、脳が体の中に充分な女性ホルモンがあると判断し、排卵を促すホルモンの
分泌を抑え、排卵が起こらなくなります。
そしてピルを飲んでいる間は子宮の内膜が厚くならないので
受精卵が着床しにくくなり、さらに子宮頸管から分泌される粘液の濃度が変化して
精子の進入を防ぐため、避妊できるという仕組みです。
ピルで卵子温存ができるってホント?
女性が一生のうちに排卵する回数は400回くらいだそう。
ピルで排卵が起こらなくなるなら、卵子を節約して温存できるんでは?
さらには温存できるなら、高齢出産が容易になるのでは?
と思われがちですが・・・。
残念ながらそれは間違いです。
ピルで排卵を抑えても、排卵せずに退化していくだけなので
残念ながらピルを飲んでいるからと言って、卵子の数を温存できたり
卵子の老化を遅らせることはできません。
そのため、ピルを10年間飲み続けても、閉経が10年後になる訳ではありません。
将来の妊活に役立つピル
避妊のためのピルがなぜ妊活にも有効と言われているのでしょうか?
それはピルに避妊以外の効果があるためです。
ピルで卵子の老化を防ぐことはできませんが、無駄な排卵を抑制することで
卵巣の老化のスピードを遅くすることができるのです。
さらに長期の服用により、卵巣がんや卵巣嚢腫になるリスクが低下します。
不妊の原因となる子宮内膜症を予防することで、将来的な不妊を防ぐという
効果もあるのです。
低用量ピルと中用量ピルの処方例
ピルにはホルモン量の違う、低用量ピルと中用量ピルがあります。
主に、避妊目的で処方されるのは低用量ピルで、ホルモン量が少なく、副作用が穏やか。
そして中用量ピルは、筋腫や内膜症について保険適用になっています。
女性の10人に1人の割合で起こると言われている子宮内膜症ですが、中用量ピルの服用で
月経の期間を整えたり、経血量を減少させることが可能です。
又、子宮筋腫により経血量が多い時も処方されることもあります。
ただし、あくまで月経症状の緩和にのみ有効で子宮筋腫が小さくなる、というような
効果はありません。
そしてピルの使用について、知っておかなければならないのは体調的な吐き気・むかつき
頭痛・むくみ・乳房の痛みなど、まるで妊娠初期のような副作用。
中用量ピルの服用では、これが顕著に起こるため低用量ピルを望む人が多いです。
さらに、ピルは血栓症や心筋梗塞、太りやすくなるなどの副作用もあることをお忘れなく。
また飲むことがおすすめできない方は以下です。
ピルのメリットまとめ
■月経周期をぴったり28日に調整できる
■排泄される子宮内膜の量が減り、生理痛の緩和、出血量の減少
■ピルに含まれる女性ホルモンによりニキビや肌荒れを防ぐ
■子宮内膜症・子宮体ガン・骨粗鬆症など、病気のリスクが軽減?
今はまだ子供はいらないけど、いつかは欲しいと思っているなら
ピルの服用を考えてみるのも賢い選択といえます。
しっかり受診してお医者さまに細かく相談することが大切です。