リーキーガット症候群って知っていますか?
直訳でいうなら「漏れている消化器官」。
リーキーガット症候群とは腸管壁に穴が開き、消化されていない食べ物や、毒素などが体内に吸収されてしまう恐ろしいもの。
最近の日本人の腸は、むくみ腸だったり、消化吸収力も低下していると言います。
美しい腸は、健康・美容の要。
「きちんと出せる腸」を持てるようもう一度腸の常識をおさらいしながら、よくある腸トラブルも知っておきましょう。
目次
腸の常識5つをおさらいしよう
むくみがなく、老廃物をきちんと排出できる腸へ
1.腸を整えるのならまずは胃から
腸内環境を整えたいのなら、まず初めにケアしていきたいのは「胃」です。
人間は口から肛門まで、およそ6~10メートルもの1本の「管」でつながっています。
胃から大腸にかけては「粘膜組織」におおわれて、食べ物の消化や分解、吸収を担っています。
腸の調子が悪いのなら、胃の状態も悪化傾向にあると捉えましょう。
2.腸内細菌は思春期には決定している
腸内にどんな菌が生息するのかは、15歳くらいまでにほぼ決定し、大人になってもその菌を安定して保ち続けます。
これは、大人になってから腸内環境を大改善したい、という人には少し残念な事実かもしれません。
実際に腸内の新たな善玉菌を増やすことは、なかなか難しいもの。
とにかく本来自分が持つ善玉菌を活性化させることが美腸づくりのカギともいえます。
3.悪玉菌も必要
腸内細菌の悪玉菌は敵だと思ってしまいますが、本当に大切なのは善玉菌とのバランスです。
悪玉菌であっても、実は腸にとって重要な働きをしていることすらあるんです。
不要な菌というものはなく、全ての菌が必要なものとして腸内に存在しています。
善玉菌、悪玉菌、日和見菌と分けて考えがちですが、次世代はまた違った解釈をすることになるかも。
あくまですべての菌のバランスが重要なことをお忘れなく。
4.腸内細菌バランスは数日間でも入れ替わる
腸内の細胞は数日の間に生まれ変わっています。
つまり食生活や生活習慣を改善することで、健康な腸へと変化し、腸内細菌が活性しやすい環境へと整えることができます。
中には食生活や生活習慣を改めてから数日で便秘が解消したり、改善の結果をすぐ感じられる人もいます。
しっかりと継続することで、腸は必ず美しさを取り戻します。
5.乳酸菌は死んでも役立つ
乳酸菌と言えば善玉菌の代表。
今までは「生きたまま腸へ届く」がキャッチフレーズのようになっていました。
しかし、菌を足していくという考えから育てていく「育菌」として考えれば、死んでしまった乳酸菌であっても役立つ場面が多数あることがわかっています。
免疫力のUPには、死んだ乳酸菌こそが活躍している、という事例もあります。
腸トラブル①リーキーガット症候群とは
リーキーガット症候群の症状は腸管の壁に穴が開いて、腸内にある未消化の食べ物や毒素などが体内に吸収されてしまう、というものです。
つまり腸粘膜のバリア機能が壊れてしまった状態です。
あまり日本では知られていませんが、アメリカではアレルギーなどの自己免疫疾患、腸炎、関節炎などのトラブルの元であると見なされ、研究が行われています。
何かのきっかけで腸管に炎症が起き、穴が開くまで悪化すると食べ物は適切に消化吸収されません。
そして、未消化の食べ物が腸から体内へと侵入してしまうのです。
もちろん体はこれを異物であると捉えるので、アレルギー反応を引き起こすのです。
そして同時に真菌類やバクテリアなども腸壁の穴から体内へと侵入してしまうので、様々な感染を起こすことにもなります。
リーキーガット症候群の原因は、食生活やストレスなど多種多様です。
未だ医療機関での診断は今後の課題であるものの、原因不明の不調があるならリーキーガット症候群を疑ってみてもいいかもしれません。
リーキーガット症候群が悪化すると・・・
リーキーガット症候群が悪化すると、喘息や肌荒れ、花粉症などのアレルギー反応が起きます。
また腸内にガスが溜まるなど、腸の働きが衰えて過敏性腸炎になることもあります。
そして不眠症や鬱や自律神経失調症などの精神疾患に似た症状が起きてしまうこともあります。
完結にまとめると、以下のような様々なトラブルが起こることがあります。
・頭痛 ・免疫不全 ・アレルギー ・肝臓病 ・リウマチ
・不眠 ・過敏性腸症候群 ・下痢、便秘 ・関節炎
・慢性疲労
リーキーガット症候群チェック
偏った食生活や抗生物質や鎮痛剤を良く飲む人、胃酸や消化酵素の不足によって消化不良を起こす、などリーキーガット症候群の原因とされているものは沢山あります。
以下のチェックにいくつ当てはまるか見てみましょう。
当てはまる数が多い人ほど、リーキーガット症候群の危険性が高くなります。
すなわち、以下のチェックに当てはまる項目を減らしていけば、リーキーガット症候群の症状改善にもつながるというわけです。
・野菜不足 ・風邪をひきやすい ・筋肉がよく痙攣する ・むくみやすい
・過食気味 ・白砂糖をよく摂っている ・肌の調子が悪い
・頭痛がする ・アトピーである ・胃薬を良く飲む ・疲れが抜けない
・抗生物質を良く飲む ・腹部膨満感がある ・便秘や下痢が多い
・アレルギー症状が出始めた ・胃酸不足で胃もたれしやすい
・アルコール、カフェイン類の飲み物を良く飲む
・人工甘味料や保存料を摂りがち
リーキーガット症候群を避けるためには、腸に負担をかける食事や生活を排除しつつ腸内環境を整えていくことが重要です。
腸の細胞膜を保護したり、改善するビタミンやミネラル、そして腸機能の回復をしてくれる「ケイ素」などを摂るとよいでしょう。
腸トラブル②消化吸収力の低下
腸の役割で一番重要なのは、「消化吸収」です。
いくらオーガニックや無添加などの食品にこだわったり、栄養バランスばかり見ていても、肝心な胃や腸の消化吸収力に注力しなくては意味がありません。
もともと胃と腸はつながっているので、腸だけを整えるという考えもナンセンス。
胃と腸の消化、分解、吸収がしっかりと働いてこそ、全身に栄養がいきわたっていくのです。
食事から必要な栄養素がしっかりと摂れているかは、体の状態や代謝にも関わってくる重要なポイントです。
食べ物を消化、吸収するために唾液、胃酸がしっかりと出ているか、また腸内で吸収しやすい状態になっているか、などきちんと酵素が働いているかを知ることも大切です。
そして、体に有害なものや消化、吸収された後の老廃物をしっかり体外に排出できているかという点でも、腸の力がわかります。
よく噛んで唾液分泌を増やし、ゆっくりと時間をかけて食事を摂る様にするだけでも、胃腸の消化吸収力は改善していきます。
消化吸収と酵素
食べたものは、胃の中の消化酵素や胃酸で消化されて、一番消化酵素の活性が高い小腸でさらに消化、吸収されます。
そして大腸の上の方で水などが吸収され、下の方で便が作られます。
食べ物を消化する代表的な酵素は、アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、マルターゼ、ラクターゼ、スクラーゼ、セルラーゼなどです。
消化に欠かせない酵素は体内にある潜在酵素と外部から取り入れる酵素とあり、潜在酵素は生命活動に必要な代謝酵素、食物の消化に必要な消化酵素であり、外部から取り入れる食物酵素は、潜在酵素を無駄に使ってしまわないようにサポートしてくれています。
酵素は、代謝にも消化にも使用されますが、酵素の不足は代謝の停滞や消化不良を招く要因になります。
酵素はどんどん食事で補うように努力しましょう。
特に、酵素の元はたんぱく質なので、バランスよくタンパク質を摂ることで酵素の働きは円滑になっていきます。
腸トラブル③糖質の過剰摂取
腸は消化器官。
だからこそ食べたものが腸にもたらす影響は大きくてあたりまえです。
実は、現代の女性の腸トラブルのほとんどが「糖」の影響であるといわれています。
糖を過剰に摂取している人は、胃の消化力が弱くなります。
そして腸の炎症を引き起こすのも「糖」の影響であるともいわれています。
腸内の常在菌であるカンジダ菌は、糖が大好物。
糖を過剰摂取するとカンジダ菌が異常繁殖し、腸内環境を悪化させることになります。
他にも抗酸化作用を低下させたり、脂肪細胞が増えて肝機能が低下したり、と糖の過剰摂取による悪影響は連鎖的に起こっていきます。
しかしながら糖は必須栄養素でもあるもの。
全く摂らない、というのは話が違ってきます。
そして最近の流行でもある糖質制限ダイエットにも注意が必要です。
日本人の腸は米類を消化吸収するのにふさわしい腸内細菌が沢山すんでいます。
そしてご飯の制限によってストレスを感じてしまうと、腸への負担は増すばかり。
重要なのは、お米よりも砂糖や人工甘味料。
外食や調味料などにも糖質は含まれているので過剰摂取を避けたいのなら、人工甘味料やジュース、お酒、砂糖を使用したものを避けましょう。
どうしても炭水化物で制限したいのなら、お米よりも日本人の胃腸にはなじみの浅いパスタやパンを避けましょう。
腸トラブル④筋肉不足
元々女性は男性に比べて腹筋が弱く、便秘になりがち。
注目したいのは、「いきむ」ための筋肉です。
腸周辺の筋肉を鍛えることで、確実に便秘解消へ。
運動不足や一日中デスクワークをしている人などは、股関節まわりの筋肉が硬くなり、腸が詰まりやすい原因をつくっています。
しかもこれは、下半身の筋肉を冷やし腸の血流が悪くなることにもつながっていきます。
お尻にある大きな筋肉、大臀筋(だいでんきん)や上半身と下半身をつないでいる腸腰筋(ちょうようきん)、恥骨と太ももをつなぐ恥骨筋は「いきむ」時に最も活躍する筋肉です。
多くの女性は、この大事な筋肉が冷えていたり硬くなっていることが多いので便秘になりやすいのです。
和式トイレのポーズで使う筋肉を確認
和式トイレでするときのポーズが、下半身のいきむ筋肉を最も効果的に使えるポーズです。
しゃがんで足の裏をぺったりと床に付けれない人は、大臀筋(だいでんきん)が硬かったり腸腰筋(ちょうようきん)の柔軟性が低い証拠です。
60秒以上このポーズがキープできれば問題ありません。
もしもこのポーズ自体ができない人は、少しずつキープできるように慣らしていきましょう。
美腸をつくるためには「育菌」を
最近までは腸内環境を整えるために善玉菌を加えていくことばかりに注目が集まっていました。
でも、本当に力を入れたいのは持っている菌を育てていく、つまり「育菌」していくこと。
腸内細菌は未だすべての働きが解明されていない未知なもの。
たった一種類だけの善玉菌を加えていくことで腸内環境を整えていこう、というのには無理があります。
そして腸内環境が整っていなければ、どんなに善玉菌を与えていっても体外へと出ていってしまう可能性も高いのです。
腸内環境を整えるには、日々の食生活がベースになっていきます。
菌に必要なのは多様性で、これさえ食べておけばいい、なんていうものもありません。
野菜、たんぱく質、食物繊維をバランスよく食べ菌が喜ぶ環境をつくることが大切なのです。
美腸をつくる育菌生活の5つの基本
毎日取り入れて腸内環境を改善しよう
1.寝起きには1杯のお水
150ccくらいのお水を寝起きに飲みましょう。
お水を飲むことで寝ている間にからっぽになっている胃を目覚めさせ活動スイッチを入れます。
冷たいお水が苦手な人は白湯でもかまいません。
2.朝ごはんは和食
朝食は、栄養はもちろん腸のぜんどう運動を促すためにも必ず食べるようにしましょう。
玄米などで食物繊維を摂り、発酵食品である味噌汁や漬物を。
一般的な日本の朝食は美腸づくりにとっても理想的なのです。
3.食物繊維とオリゴ糖は意識的に
腸内細菌の種類が豊富であるということは、その分好むエサも多種多彩であるということ。
食物繊維やオリゴ糖なども1つだけでなく、いろんな食材から取り入れるようにしましょう。
4.食物繊維はこまめに
腸内細菌のエサにもなり、便のかさを増して便通を促す食物繊維。
腸内環境を整えるために欠かせないものですが、一度に大量の食物繊維を摂ると逆に詰まって便秘の原因になることもあります。
1日の中で分けて摂取していくことで、その良さが発揮されます。
5.乳酸菌サプリは寝る前がベスト
朝はなるべくサプリメントではなく、きちんとした食事で栄養補給をするべきであることに加えて、腸内細菌は夜寝ている間に活発に活動しているため、乳酸菌のサプリメントは夜寝る前に摂るのが一番です。