女性の性行為時の悩みとして多いのが実は性交痛だということを知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。
プライベートな問題のため、話を耳にする機会がないためお互い同じ悩みを抱えている人が周囲にいると言うことを知らずにいる場合が多いようです。
多くの女性が悩んでいる性交痛ですが、痛みの種類によっては病気が潜んでいることもあります。
病気じゃなくても痛みというのは厄介で、一度痛みを感じてしまうと、性行為自体に恐怖や嫌悪感を抱いてしまうと非常に厄介です。
そうすると、好きな気持ちは変わらないのに、交際自体を負担に感じたりして2人の関係性もギクシャクしてしまいますよね。
より私的な部分になる性行為の悩みは、誰にでも相談できるものではありません。
ですが、性交痛時の奥の痛みは病気の可能性もあるので、一人で抱え込まずにまずは身体チェックを兼ねて病院を受診することも視野に入れておきましょう。
性交痛で奥に痛みを感じる主な原因は3つ!
性交痛でも男性器を挿入する時に感じる痛みもあれば、挿入後に感じる痛みなど色んな痛みがあります。
それらを総称して性交痛と言います。
今回は、性交痛でも奥の痛みについてお伝えしたいと思います。
奥が痛む場合、自分だけで対処できる身体的特徴が原因より、病気の可能性が高くなります。
また、病気以外でも精神的なことが原因でも性交痛が起こるので、病気か、身体的特徴か、精神的なものが原因かをきちんと見極めましょう。
自分で判断でき難い症状の場合は、躊躇せずに病院を受診して原因をはっきりさせることが大切です。
身体的特徴で奥が痛くなる性交痛の原因
身長や足や手の大きさがそれぞれ個人差があるように、膣の大きさや形、パートナーの男性器の大きさや形にもそれぞれ違いがあります。
人より膣が小さい、パートナーの男性器が他の人より大きいなどの身体的特徴によって奥に性交痛を感じることがあるのです。
そういう個人差によって性交痛が生じている場合は、パートナーと相談しながら性交渉時の体位を工夫してみることでも性交痛を軽減することができます。
精神的な要因で奥が痛くなる?
経験があまりない、過去に性行為で嫌な思いをしたなどのトラウマになるような性的経験をした事が原因で、行為そのものに対する恐怖心や緊張感、嫌悪感などの感情で体の軽い不快感や違和感も強い痛みとなって表れることがあります。
また、そういった色んな感情が、いざ性行為を行う際に、体を萎縮させることで、体の筋肉が硬くなるため性交痛となるのです。
子宮も筋肉で出来ているので、体がこわばると当然子宮も硬くなりますよね。
心理的なトラウマの軽減や、パートナーとの信頼関係を築くことが出来て過去に嫌な思いをした時の性体験などの悩みをパートナーに相談出来たり、ペースをあわせてくれるようなパートナーなら心理的なトラウマも少しずつ薄れていくでしょう。
奥が痛いのはこの病気の可能性も!
◆処女膜強靭症
処女膜強靭症は、その漢字の通り先天的に処女膜が硬いため、性行為をして始めて気付く病気です。
そもそも処女膜とは、膣の入り口近くにあります。
厚さは1mm程度の薄さで、ヒダ状の膜のことを処女膜といいます。
処女膜は本来、柔らかい靭帯によって形成されているため、破れやすいのです。
また、膜は完全に塞がっているわけではなく、中心に小さな穴があるため、外と通じています。
処女膜強靭症の人の場合の処女膜は、厚く硬いため、性交渉などで破れません。
普段は自覚症状がないため、性交渉をしてみて強い痛みを感じてはじめて処女膜強靭症かも?と気付く人が多いのです。
こういう症状の場合、処女膜強靭症かもしれません。
自分の指やパートナーの指すら入らない、痛すぎて性交渉が出来ない、性交渉は可能だが毎回性交痛がひどい、性交痛以外に出血することもある、これらの症状が処女膜強靭症の症状です。
自分の症状に当てはまるという人は処女膜強靭症の可能性が高いです。
◆子宮内膜症
子宮内膜症とは、端的にいえば子宮内膜やそれに似た組織が子宮以外の場所に発生してしまう病気です。
本来子宮内膜は子宮の内側をおおっているものです。
発生する他の場所とは、卵管や卵巣、腹膜や腸など様々な場所に発生します。
増殖と出血を繰り返し、本来は子宮内膜をおおっているため、通常は血液とともに子宮内膜が膣から出てきます。
これがいわば月経ですよね。
ですが、子宮内膜や血液が出口のない他の場所で出来ると、他の場所にたまったままになるため痛みとして現れるのです。
この子宮内膜症は、不規則な生活習慣や食生活の欧米化、晩婚化や少子化で妊娠、出産が少なくなったため等とも言われていますが、原因ははっきりと分かっていません。
ただし、若い女性を中心に子宮内膜症を発症している人は増加しているのです。
そして子宮内膜症の特有の症状に性交痛や排便痛があります。
その他には、月経痛が酷くなる、月経以外の時でも腰痛や下腹部痛がみられるので、心当たりがある人は早めに病院を受診しましょう。
◆子宮筋腫
子宮腫瘍は子宮に良性の腫瘍ができる病気です。
この子宮筋腫は30歳以上の女性の3人に1人は筋腫を持っているのです。
腫瘍のできる場所によって病名が変わります。
漿膜下筋腫(しょうまくかんきしゅ)は、子宮表面をおおっている漿膜の下にできる子宮筋腫です。
粘膜下筋腫は、子宮内側をおおっている守旧内膜の下にできる子宮筋腫です。
頸部筋腫は、子宮の上にある子宮頸部にできる子宮筋腫です。
筋層内筋腫は、一番ポピュラーで子宮の筋肉の中にできる子宮筋腫です。
子宮筋腫の症状として、性交痛や、月経痛や、過長月経(月経が10日以上続く)や、過多月経(大きな血のかたまりが多くでる)、経血の量が増えることで起きる貧血、便秘などの症状がみられます。
◆性感染症
性行為(膣性交、性器→口腔、性器→直腸)の皮膚や粘液の接触により感染する疾患のことです。
この性感染症に感染すると、男女によって自覚症状の強さに違いがあり、女性の方が男性より自覚症状がない場合が多く、女性の方が炎症が進行しやすいのです。
性交痛だけではなく、下腹部痛や、おりものの状態など少しでも違和感を感じたら性感染症検査をすることが大切です。
症状を放置しておくと、症状が進行して不妊症や子宮外妊娠の原因や、妊娠中には流産や早産の原因にもなります。
『クラミジア』に感染すると、女性の場合の症状として下腹部の痛みや性交痛があげられます。
クラミジアは感染者数が最も多い性感染症です。
クラミジアの潜伏期間は1~3週間で、感染した人の半数は自覚症状がないのです。
クラミジア・トラコマティスという病原菌が感染することで起こる病気で、膣や尿道、咽頭に感染します。
『膣トリコモナス症』に感染すると、女性の場合の症状として外陰部や膣の痛みがあげられます。
『性器カンジダ症』に感染すると、女性の場合は性交痛があげられます。
ガンジダは常在菌ですが、カンジダが過剰に増加すると性交痛の原因になるのです。
『淋菌』に感染すると、女性の場合の症状として下腹部の痛みや性交痛があげられます。
その他にも『ヘルペス』『梅毒』『HIV・エイズ』『HPV・尖圭コンジローマ』『トリコモナス』などの性感染症があります。
奥に痛みを感じる性交痛に対処法はあるの?
◆身体的特徴の場合
性交痛での身体的特徴の問題となるのは、あなたの膣が小さい、パートナーの男性器が大きい、長いなどの特徴が挙げられます。
こういう問題は、性交渉の体位を工夫したりするだけで性交痛を軽減させることができます。
どちらの場合も性交痛を改善するためには、お互いの理解が必要不可欠です。
性交痛を感じないように相手を思いやりながら色んな体位を試したり、性行為の仕方が激しすぎて痛い場合はどの程度なら痛さを感じないのかを性行為しながら確認する必要があるからです。
また、体位などを工夫するにも限界がありますが、男性器を極力膣の奥に届きにくくするラブグッズなどもあります。
色んなグッズなどを2人で試してみるのも性行為のマンネリ化を防止にもなりますよ。
◆精神的なトラウマなどの場合
トラウマを抱えるほどの性的経験がある人の場合、今の相手が信頼出来るパートナーなら相談してみるのも一つの方法です。
よりプライベートな出来事となる性経験の悩みは、相談できる人も限られてきます。
トラウマになるほどの経験をしてしまったのなら尚更、誰にも話せない、話したくないと自分の殻に閉じこもりがちですが、一人で消化して解決するには時間が掛かり過ぎてしまうこともあります。
また、性的な行為を一生誰ともできずに終えてしまうことにもなります。
将来、子供が欲しいなどと思っていてもその望みすら諦めてしまうことになるのです。
信頼できて親身に相談に乗ってくれる相手がいる人は、一つのきっかけとして相談してみて下さい。
身近な人にこそ知られたくないという人も中にはいるでしょう。
そういう場合には、近年では素性を隠したままできるネット相談も数多くあります。
それで全て解決するわけではありませんが、同じような体験をした人の話を知ることで少しは心の重荷が軽減されることもあります。
まずはどんな方法でも一歩踏み出してみることが大切です。
また色んな病院があるので、女性器専門病院や、カウンセリングも行っている病院もあります。
それぞれ特徴があるので、自分に合った信頼して受診できる病院を見つけましょう。
◆病気の場合
『処女膜強靭症』の度合いによっては、手術で処女膜を切開します。
手術時間も30分程度と短いため、術後1ヶ月も経てば性交渉できるようになります。
『子宮内膜症』は、薬物療法と手術療法があります。
症状の状態や、既往妊娠の有無、年齢、挙児希望かなどや、子宮内膜症の軽度によっても治療方針が変わります。
根治が難しいと言われる子宮内膜症ですが、手術療法や薬物療法で病気をコントロールすることが出来ます。
『子宮筋腫』は、症状が強い場合や子宮筋腫が不妊の原因となっている場合には、筋腫だけを取り除く手術をします。
手術の方法は、子宮筋腫の大きさや場所によって変わってきます。
女性ホルモンの働きで徐々に大きくなる子宮筋腫は、卵巣から女性ホルモンの分泌を抑える薬を使う方法もありますが、長期間続けると様々な副作用がでてくるため、筋腫を小さくしてから手術する、手術をしばらくできない場合の治療法になります。
病気が原因の場合、どんな病気でも症状の度合いや、進行具合、個人の体調などによって治療方針や方法が変わります。
まずは、自分が信頼出来る病院や医師を探して自分の体をチェックしてもらいましょう。
自覚症状がなくても不安になったら婦人検診を受診するつもりで、自分の体のメンテナンスをしっかり行っておくと症状が軽いうちに病気を治療することが出来ます。
◆性感染症
クラミジアの場合は、抗生物質の内服、淋菌の場合は抗生剤の点滴が主ですが、近年は耐性菌が増えてきています。
ヘルペスの場合は、抗ウイルス薬の内服や軟膏が一般的ですが、重症なケースは点滴が必要な場合もあります。
膣トリコモナス症の場合は、薬の服用、膣錠で、膣カンジダ症の場合は、抗真菌剤などのクリーム剤や膣錠で治療します。
性感染症かな?と疑わしい場合は、早めに婦人科を受診することをおススメします。
それでも恥ずかしい、病院に行く時間がとれない多忙な女性には、来院しないくてもいい病院や、自宅にいながら性感染症12項目をまとめて検査することができるキットもあります。
検査からオンライン診療、治療まで対応しています。
どうしても通院したくないという女性も、重症化する前に自分に合わせた方法を探してみてくださいね。
まとめ
膣の奥の痛みが酷いという性交痛の場合、婦人科系の病気や性感染症を発症している可能性が高いのです。
性交痛を感じるけど、まだ我慢できる痛みだから、それほど痛みがないから大丈夫などと放置していませんか?
その痛みを放置したままでは、不妊症などのリスクも高くなります。
よりプライベートな性的な悩みとなる性交痛に悩んでいる多くの女性の中には、病院を受診するのも恥ずかしいと避ける傾向にあるのです。
ですが、近年では、ネット相談してから受診できる女性器専門の病院等も増えてきているため、選択肢は数多く存在します。
まずは、自分に合った病院を選ぶことも可能なので、色んな情報を駆使して早めの受診を心がけましょう。