天然のサプリメントともいわれる発酵食品。
微生物の力によって、整腸作用や免疫活性化など沢山の健康効果が期待できる食品です。
発酵食品の健康効果や、おすすめの発酵食についてまとめます。
おすすめ発酵食品のレシピもチェックしてください。
目次
発酵食品の健康効果
健康効果は発酵食品によって違います。
ヨーグルトなどの乳酸発酵が主な発酵食品は、乳酸菌の働きで「美肌効果」「整腸作用」「免疫活性化」などが期待できます。
そして塩麹、甘酒のように麹の発酵食品はビタミンB群がとても豊富。
鰹節、アンチョビには血圧を下げる効果もあるとわかっています。
発酵食品の発酵を起こしているのは微生物。
この微生物がもともとの食材には存在しない様々な有効成分を作り出しています。
それが、健康効果を生むのです。
発酵食品の利点
1.腸内環境を整える
発酵食品には、発酵そのものを起こす微生物と、その微生物が作り出した代謝成分が含まれています。
これらの中は、腸内細菌、腸そのものの働きを活性化するものが多く、腸内環境を整えたり便秘改善作用が期待できます。
2.栄養素を吸収しやすく
でんぷんやたんぱく質は分子が大きいので、胃腸で細かくされてから体へ吸収されます。
発酵食品は微生物により、ある程度栄養素が分解されているので体内に吸収しやすく、胃腸にもやさしいのです。
20種のアミノ酸が結合したたんぱく質、ブドウ糖が連なるでんぷんは発酵中に微生物によってバラバラになります。
アミノ酸は「旨み」となり、ブドウ糖は「甘味」をもたらします。
3.長期保存を可能に
発酵食品には保存食が多い。
発酵を促す微生物が活発に活動することで「腐敗菌」の活動は抑制され腐りにくくなります。
発酵微生物にとって好ましい環境は、「腐敗菌」には生息しにくいものです。
4.うまみが増す
発酵を起こしている微生物は、その過程においてもともとの食材にはなかった成分を作り出しています。
この成分が出す独特の味わい、風味、香りが発酵食品のうまみを引き出しています。
5.栄養素を増やしている
発酵していく過程においてもともとの食材に少なかった成分も増えます。
例えばビタミンB1の量はキュウリの糠漬けなら9倍程度に、大根なら17倍にも増加します。
また納豆は、大豆自体には存在していなかった「ナットウキナーゼ」や「ビタミンK」などが作り出されています。
おすすめ発酵食品レシピ
目標は手作り。常備したい発酵食品
塩麹
ブームをも起こした塩麴は、米麹と塩を混ぜ合わせて発酵させたもの。
料理に使えばコクや旨みが増す、と愛用している人も増えています。
お肉やお魚を漬け込めばやわらなくなり、お米や野菜料理にもスプーンで1さじ位入れるだけで美味しくなります。
自作するのも比較的簡単。
レシピは、米麹(300g)に塩(100g)を入れ、揉みこんだら50℃程度のぬるま湯(300ml)を加えて瓶などにうつします。
最初の2週間までは2~3日1回空気を入れるようにしながらかき混ぜます。※夏場は毎日
アルコール臭がしてきたら1週間に1回程度かき混ぜるだけで十分。
作ってから1週間で食べれますが、夏場は1ヵ月、冬場は3カ月ほど発酵させるとおいしくなります。
ザワークラウト
聞いたことはあるけど、あまり馴染みのないザワークラウト。
ドイツでは冬寒く、食材も不足がち。
そのため長期の保存が可能な発酵食品は欠かせないのです。
ドイツでは、日本とはまた違う発酵食品が豊富です。
ザワークラウト以外にも、ピクルスやソーセージ、発酵バター、チーズなども定番の発酵食品。
発酵食品の歴史も古く、一般家庭でも地下室を持つ家が多いんだそうです。
その中でも注目したいのはザワークラウト。
冬場にビタミンCを摂取できる保存食として長年重宝されています。
ザワークラウト独特の酸味は乳酸発酵によるものであり、植物性乳酸菌にあふれています。
乳酸菌は例え加熱処理によって死滅しても、腸内細菌のエサとして活用され、腸内環境を整えます。
そのまま食べる以外にも、煮込み料理に入れたりマヨネーズで合えるなどアレンジも可能です。
レシピは、1kgの千切りキャベツにキャベツ質量の2%の塩を入れ、しんなりするまで揉みこみ、保存瓶へ。
そこへお好みでローリエ、クローブ、キャラウェイシードなどを入れてラップでキャベツの表面を覆ったら重しを乗せ、常温で置いておきます。
キャベツが浸かるほど水分が出てきたら重しを取って蓋をして冷蔵庫へ。
作るのに適しているのは冬場の寒い時期。
常温で5日ほどおいてから冷蔵庫で1週間熟成させます。
1ヵ月ほど熟成させても美味しく食べられます。
冷蔵庫で半年くらい保存も可能です。
アンチョビ
発酵食品であるアンチョビは自己分解酵素で発酵をすすめます。
このイワシ自身が持つ消化酵素の働きが独特の旨みを出しています。
市販でも沢山流通していますが、手作りすると尚美味しいです。
しかし、材料となるカタクチイワシはスーパーなどではなかなか入手できません。
購入するときはお魚屋さんなどにお願いするのがベスト。
そしてアンチョビを漬けていた液体は、魚醤油として使用できます。
この魚醤油も熟成がすすめばまろやかになり、少量でも料理の味が際立ちます。
アンチョビのレシピは、カタクチイワシ(1kg)を水で洗い頭とワタを取り除きます。
再び冷水で洗ったらザルにあげておきます。
保存瓶にカタクチイワシを敷き詰めて、1段並べたら塩を振る、を繰り返します。
※全体の塩の量はイワシ1kgに対して200g程度。
一番下の段は塩を振る量を少な目に、上に行くほど塩分が濃くなるようにします。
カタクチイワシを積み終わったら、最後は表面を覆い隠すように塩を入れます。
その後は冷蔵庫に入れてイワシが完全に水に浸水するまで待ちます。
水分がたっぷりと出たら、冷暗所に移して熟成させます。
3カ月後から食べらるので、3カ月過ぎたら味見をしながら好みの味まで待ちます。
好みの味に仕上がったら瓶から取り出し、カタクチイワシの骨を取り除きます。
水気をキッチンペーパーで拭き取ったら、保存容器にローリエとともに入れ、オリーブオイルに漬けます。
そして再び冷蔵庫に入れ、熟成させます。
イワシを取り出した後の汁をこせば、魚醤油も出来上がりです。
ニンニクやオリーブオイルとの相性は最高!
シンプルなパスタに入れるだけで、とても美味しくなります。
酵素ドリンク
酵素ドリンクは市販の製品も多く、なかなか自分で作る、という人は少ないもの。
慣れれば仕込みにかかる時間は20分程度。
野菜や果物を砂糖や米麹と一緒に漬け込むことで、手作りの酵素ドリンクが作れます。
酵素ドリンクに含まれている乳酸菌、酵母には腸内環境を整える効果があります。
また美肌効果を感じられる人も多いです。
炭酸水などで割って飲むと飲みやすく、食事の30分ほど前に飲むことで食欲を抑える効果も。
しかし、カロリーは決して低くないので飲みすぎると逆効果になることもありますので要注意です。
酵素ドリンクにおすすめな食材は、イチゴ、ミカン、ユズ、リンゴなど。
ここではミニトマトを使用した酵素ドリンクのレシピを紹介します。
酵素ドリンクのレシピは、ミニトマト(500g)に白砂糖(550g)、米麹(5g)を用意します。
水洗いしてヘタを取ったミニトマトを半分に切ります。※ヘタも取っておきます。
保存容器に白砂糖、ミニトマトの順番にミルフィーユのように重ねていきます。
3層目くらいからは上から手で押し込んで空気を抜きます。
プチトマトのヘタはお茶用のパックなどに入れ、一番上に加えます。
その後、米麹を入れ砂糖でかぶせ、上から手で押し込み空気を抜きます。
隙間なくプチトマトが詰まったら蓋をします。
2日目からきれいな手で1日に1~2回混ぜます。
6日ほど経過したら水切りネットなどで、時間をかけてゆっくりとこします。
絞ってしまうと味が落ちるため自然に酵素ドリンクが落ちていくのを待ちましょう。
保存する容器は煮沸消毒後した卵のカラを1/2個分入れておきましょう。
酸化防止になります。
発酵食品は効果絶大
発酵食品は若い世代では深刻な摂取不足が懸念されています。
その反面高齢者は、その食習慣から発酵食品を摂る人が多いんだとか。
糠漬けなどのお漬物や納豆、お味噌汁など、日本食に多く存在する発酵食品は健康な体をつくるために必ず食べたいものです。
長年の便秘に悩み、ヨーグルトだけでは何の変化がなかった人でも、発酵食品を意識して摂る様になっただけで、過去に自分が便秘に悩んでいたことすら忘れてしまったということも。
発酵食品ならではの成分で腸内環境が整えば、お肌が綺麗になっていくのはもちろんのこと、免疫力もUPするのです。
発酵している分、ちょっとしたクセやニオイが気になるという人もいるけれど、慣れてしまえばそれこそが旨みと感じるものですよ。