花粉症の人にとって、最もつらい季節がやってきました。
「私は平気」と安心している人も、実は注意が必要かも。
知らないうちに花粉に対応するための「抗体」が、体内にどんどん蓄積されているかもしれません。
この「抗体」が一定の量を超えてしまうと、鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどの花粉症の症状が現れます。
すでに花粉症になっている人も、まだなっていない人も花粉に負けないような体づくりを心がけていきましょう。
目次
花粉症は4人に1人
花粉症の中でも、日本人には特に多い「スギ花粉症」の人は、4人に1人といわれており、1998年から2008年の10年間でなんと10%も増えています。
そして最近では若年層や、若い世代だけでなく、小さなお子さんや高齢者の発症も増加しています。
スギ花粉の直径はおよそ0.03ミリと目には見えません。
しかし、窓や換気口などから室内にもどんどん侵入してきています。
花粉症になりやすい人とは
花粉症になりやすいのは、花粉に反応して「アイジーイー抗体」という抗体に反応しやすい体質の人。
そもそも花粉自体は有害ではありませんが、各自の体内で「敵」とみなされてしまうと、花粉に反応し「アイジーイー抗体」が作られます。
こうなると花粉が体内に及ぶ度に「アイジーイー抗体」が作られ、目や鼻の粘膜のヒスタミンをはじめとした、化学伝達物質を蓄え膨らんでいる細胞、「肥満細胞」と結合します。
この結合したものが一定量を超えたときに、肥満細胞が粘膜を刺激するヒスタミンなどの化学伝達物質を放出します。
すると、目や鼻の粘膜が反応して「花粉症」の症状が現れるのです。
今の段階で花粉症を発症していない人でも、血液検査で花粉に反応する「アイジーイー抗体」が陽性であれば、花粉症になる可能性があるといえます。
そのために、出来るだけ体内に花粉を取り込まないようにすることが大切です。
主な花粉症の症状とは
花粉症の3大症状といえば、「くしゃみ、鼻水、鼻づまり」です。
これは、花粉を吸入した際に最初に鼻粘膜に花粉が付着するため。
花粉症の症状がどんどん進行していくと、のどや肌のトラブルなども起こり始めます。
さらに重症化した場合には、下痢や食欲不振、だるさや不眠症状を訴える人も。
花粉症の一般的な症状
・目のかゆみ ・涙目 ・目の充血
・のどがイガイガする
・のどや口のなかのかゆみ
・外気に触れている部分の湿疹やかぶれなど
重症化した花粉症の症状
・下痢 ・倦怠感 ・不眠 ・微熱
・食欲不振 ・消化不良
・イライラ感
風邪と花粉症の見分け方
くしゃみや鼻水、鼻づまりは風邪の症状でもお馴染みです。
自分でも風邪なのか花粉症なのかわからないときは、熱やのどの状態、症状が続く期間でも判断することができます。
風邪の症状
・咳やたん、のどの痛みがある
・発熱
・1週間ほどで完治する
花粉症
・目のかゆみ、充血を伴う
・発熱はほとんどない
・花粉の飛散時期には症状が継続する
花粉はどんな時多いの?
そしてスギ花粉が飛び回る時間のピークは、11時から15時。
外出前には、その日の花粉の飛散情報をチェックするようにしましょう。
花粉の飛散料は日によっても違うので、服装も臨機応変に変えるようにすると効果的です。
また暖かく日中の温度が10度を上回る日は特に気をつけましょう。
湿度が低い中で風がふくと、花粉は空中に浮遊しやすくなるため特に花粉に苦しめられることになります。
花粉は目に見えないのでわかりにくいものですが、例えば1時間部屋の換気をすると室内には1,000万個もの花粉が流入するともいわれています。
換気の際には、レースのカーテンだけでも閉めたまま行うだけでも、花粉の流入をぐっと抑えることができます。
花粉症対策はいつから?
花粉によっておこるアレルギー症状は、一旦症状が出てしまうと鼻の粘膜はどんどん敏感になって、症状が強くでやすくなってしまいます。
花粉症の症状を軽く抑制するためにも、症状が出たらすぐに薬を服用することが大切。
症状が出る前から準備しておくことが重要です。
花粉症の薬の副作用として嫌われるのが「眠気」。
しかし最近は眠気の副作用が少ない抗アレルギー剤も多くあります。
花粉症の市販薬
カプセル状などの市販薬から、目のかゆみに効果的な点眼薬、鼻の症状をすぐに抑えるのに有効な点鼻薬などもあります。
これらの市販薬は、花粉が飛散し始める前から準備して、すぐに使えるようにしておきましょう。
主な市販薬に使われている抗ヒスタミン薬を飲むと、鼻の粘膜だけでなく脳にも作用し、集中力・判断力・作業能率の低下をさす「インペアード・パフォーマンス」を引き起こすこともあります。
眠気とは違って、本人の自覚がないまま様々な場面において影響が出てしまう場合もあります。
「インペアード・パフォーマンス」を引き起こさない花粉症治療薬もあるので、副作用が気になる方は医師に相談しましょう。
内服薬
抗アレルギー薬
鼻水や鼻づまり、くしゃみなどが出はじめたら辛くなる前に服用します。
眠気などが起こりにくく、「第2ヒスタミン薬」とも呼ばれます。
抗ヒスタミン薬
鼻水や鼻づまり、くしゃみなどをすぐに止めたいときに服用します。
数種類の成分を配合した市販薬が多い。
点鼻薬
非ステロイド点鼻薬
鼻水や鼻づまりなどをすぐに解消したいときに使用します。
抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の他に血管を収縮させて鼻づまりを改善させる「血管収縮薬」などが配合されています。
ステロイド点鼻薬
優れた抗炎症作用、抗アレルギー作用で辛い症状を元から改善します。
内服薬との併用も可能です。
点眼薬
目のかゆみが強く感じられるときに使用します。
コンタクトレンズを使用している人は、防腐剤が含まれていないものを選びましょう。
花粉症の治療方法、医療費は?
病院での花粉症治療についても知っておきましょう。
花粉症になると病院では、鼻の中の診察やアレルギー検査が行われます。
そしてその患者様に合った薬が処方されます。
とても症状が酷い場合には、鼻の粘膜をレーザーで焼く手術が行われることもあります。
薬の処方やレーザーは対処療法ですが、花粉症を根本的に治すことが可能であるといあらえている治療方法が、「舌下免疫療法」です。
舌下免疫療法は、毎日舌の裏側に花粉エキスをスプレーする治療方法。
少しずつ花粉のエキスが体内に入ることで、花粉に過剰に反応しないように免疫システムを整えていくもので、80%くらいの人に効果がみられるといわれています。
この花粉エキスの投与は、2年から3年継続して行うことが多く、2014年からは12歳以上であれば保険適用で受けることができます。
しかし、舌下免疫療法は毎月1回の通院が必要となり、時間もかかりますが将来的な花粉症完治を目標に試してみるのもいいでしょう。
最近、問題視されている花粉症発症の低年齢化についても、過度に清潔な環境での生活や、生活習慣の乱れなどが免疫機能に悪影響を及ぼし、子供たちがアレルギーを起こしやすい体になっているのでは、という指摘があります。
花粉症対策に有効な食べ物とは
花粉症対策には、抗酸化作用のある食べ物や腸内環境を整える食べ物を意識して摂る様にしましょう。
緑黄色野菜や果物に多く含まれているベータカロテンやビタミンC、ポリフェノールなどは高い抗酸化作用を持っています。
これらを食べることで、花粉症の悪化につながる活性酸素を減らす効果も期待できます。
そして、免疫機能の乱れは花粉症を含めたアレルギー疾患を引き起こす原因に。
免疫機能に大きく関わる腸内環境は、しっかりと整え改善していくことで免疫機能のアップにつながります。
日々、乳酸菌豊富なヨーグルトやお漬物、食物繊維や発酵食品の摂取を心がけましょう。
花粉症対策に有効な食べ物
・ブロッコリー ・キウイ ・ニンジン
・大豆 ・大豆製品 ・トマト ・レンコン
・海藻類 ・根菜類 ・ヨーグルト
花粉症は遺伝する?
やはり親が花粉症であれば、その子供も花粉症になる傾向があるようです。
しかしこれは、遺伝というよりも生活習慣や食生活などの環境的要因のほうが強いと言えるでしょう。
どうしても親の食の傾向は子供にも影響するので、花粉症対策に効果的な食べ物を食卓にあげるように注意しましょう。
親子で花粉症に悩む家庭の多くは、抗酸化作用のある食材や発酵食品の摂取が足りていない傾向があるのです。
日常生活でできる花粉症対策
花粉症対策のポイントは、なんといっても体内に花粉を入れないことです。
うがいや手洗いはもちろん、マスクやメガネの使用は効果的です。
マスクの使用は、体内に入る花粉の70%をカットできるといわれています。
さらに花粉を防ぐ効果をうたったマスクであれば80%はカットできるでしょう。
普通のメガネをつけているだけでも、花粉は40%カットでき花粉症専用のメガネなら65%ほどカットが可能になっています。
そして粘膜の保護や、室内に入ってしまった花粉が舞い上あがるのを防ぐためにも、室内の湿度は40%以上を保つようにしましょう。
衣服の素材も、花粉が付着しにくいレザー、ポリエステルなどを選ぶようにするといいでしょう。
6つのポイント
①うがい、手洗いをしっかりとする
②マスクやメガネを使用する
③たばこ、アルコールを控える
④ストレス、過労をさけよく眠る
⑤バランスのよい食事
⑥空気清浄機の活用
花粉症に効果的なツボ押し
鼻づまり解消のツボ
顔には、鼻水や鼻づまりを解消できるとされるツボがあります。
①印堂(いんどう)
両方の眉毛の中央にあるツボ
②迎香(げいこう)
小鼻の両横にあるツボ
③かりょう
鼻の穴の下にあるツボ
④合谷(ごうこく)
親指と人差し指の間の凹みにあるツボ
特に合谷は、首から上の症状全般に効果があるといわれています。
ツボ押しは、力を入れすぎずに指の腹で回すように押しましょう。