「女性ホルモン」とひとことで言っても、実際のところ深く理解している女性は少ないのでは?
最近では、女性ホルモンと体や心の関係性が医学界でも注目されているんですって。
また女性ホルモンが注目を浴びている要因には、現代の女性が30年ほど前とは違って仕事を持っている割合が高くなり、日々の生活が忙しいためにホルモンバランスを崩してしまう人が多くなっていることにもあるそう。
そして、出産の適応時期が25歳~35歳であるという事実を知らない若い女性が多いことも問題になっています。
女性にとって、欠かせない大きなパワーを持つ女性ホルモンについてきちんと知っておきましょう。
目次
女性ホルモンはどこから出ている?
女性ホルモンが出てくる場所、その答えは「卵巣」です。
でも、細かく言えば卵巣そのものから女性ホルモンが分泌されているわけではありません。
女性は産まれた時から卵巣の中に卵子のもととなる「卵胞」をもっています。
これを原始卵胞と呼び、胎児のころにピークを迎え、その数は約700万個にもなります。
そして月経がはじまった2日程度たつと、脳から原始卵胞を成長させるよう指令が出ます。
女性ホルモンはこうして排卵に向けて選ばれた卵胞が成長していく過程で、卵胞の内の特別な細胞の中から分泌されはじめます。
女性ホルモンの分泌量がピークになると、脳が察知して排卵がおこります。
排卵後も女性ホルモンは出続けており、その働きで今度は受精卵を受け入れる準備にとりかかるのです。
これはつまり、赤ちゃんが育つための子宮内のふかふかなベッドを作る、という準備。
残念ながら受精卵がやってこないと、子宮内膜が剥がれ落ちて月経がやってくる・・・というしくみになっています。
女性ホルモンの役割
女性ホルモンの最大の役割は、排卵を促し妊娠、そして出産という大仕事を全うすること。
しかし、それ以外にも実は様々な作用があるのです。
お肌や髪の毛、爪などのハリや潤いを保つのも女性ホルモンの役割。
女性ホルモンにはコラーゲンの生成を促す作用があるからです。
他にも骨密度を保ったり、コレステロールを調整して動脈硬化を防いだりもしています。
また、意外なとことでは記憶力や精神の安定なども女性ホルモンの働きによるところが大きいです。
若いころとは違う変化が起きてくる部分にはすべて女性ホルモンが作用していると思ってかまいません。
しかし、30代くらいまではそんなことに気づくことはありません。
そのために、不規則な生活や食習慣、過激なダイエットなどでホルモンの分泌に悪影響を与えることを日常的にしてしまう・・・これこそが大きな問題なのです。
女性ホルモンの量には個人差がある?
そもそもホルモン全般の特徴といえば、とても少量で体に大きな影響を及ぼすということ。
女性ホルモンももちろん、例外ではなく一生のうちに分泌される女性ホルモンの量は、なんとティースプーン1杯程度です。
女性ホルモンの分泌量に個人差があるのか、といえばそれほど大きな個体差はないといわれています。
しかし、過度のストレスや不規則な生活により一時的にホルモンの量が減ることもあります。
女性ホルモンは何種類?
女性ホルモンは大きく2種類にわかれます。
1つはエステロゲン、もう一つはプロゲステロンというホルモンです。
卵胞が成長していく過程で出てくるのがエストロゲンで、排卵のときに乱視が飛び出した後に破れた卵胞から出てくるのがプロゲステロンです。
ちなみに、この破れた卵胞からは少量のエステロゲンも同時に出ています。
エステロゲンはお肌や髪に艶を与えたり、病気の予防、脳の機能などに作用しています。
また、プロゲステロンは身体に水分を引き込んだり食欲を増進させたり、基礎代謝を上昇させたりします。
プロゲステロンは、むくみ、ニキビなど嬉しくない症状をも引き起こすことがありますが、妊娠や出産にかかわるという意味ではなくてはならないホルモンです。
2つの女性ホルモンはずっと同じ量?
女性ホルモンは1日の中でホルモン量が変化することはありません。
しかし、1カ月の月経周期から見ればその時期によってエストロゲンとプロゲステロンのホルモン量は大きく変わっています。
出典:東洋美容鍼灸院 nourish
月経周期は月経期、卵胞期、排卵期、黄体期の4つを繰り返して成り立っています。
エストロゲンは排卵期の直前にピークを迎え、その後は一度量が減り、黄体期にもう一度分泌量が増えます。
そしてプロゲステロンは排卵後に分泌量のピークを迎え、月経がはじまるとともに減っていきます。
基本的に黄体期は身体がむくみやすく、運動やダイエットをしても効果がでにくいもの。
ダイエットは、卵胞気にはじめるほうが有利なのです。
排卵にともなった、自分のリズムを知っておくと体調の変化にも敏感になることができるようになります。
女性ホルモンは一生出続ける?
女性ホルモンが何歳まで出続ける、とはもって生まれた遺伝子や環境の違いなどもかかわってくるので一概には言えません。
しかし、一般的には初潮を迎える12歳前後から50歳前後の閉経までの間、女性ホルモンが分泌されると考えていいでしょう。
閉経になる50歳前後には、女性ホルモンは限りなく少なくなってしまうのです。
ただし、30歳以降は注意が必要。
男性は男性ホルモンの量が加齢とともに徐々に下がっていくのですが、女性は「急激に」女性ホルモンの分泌量が減ってしまうからです。
産婦人科では37歳が大きなターニングポイントとされており、37歳を境に急激に女性ホルモンの産生能力が減っていくといわれています。
30歳前後から体を冷やさないようにすること、そしてきちんと栄養を摂ること、キツすぎる下着は避ける、適度な運動を習慣にする、など「準備」をしておくことが大事。
そうしておくことで、閉経前後の更年期が大きく変化します。
恋愛すると女性ホルモンは増える?
女性は恋愛するとキレイになるとか、充実した恋人との性交渉で美しさが増すなどと俗に言われたりもしますが、本当に恋愛や性交渉で女性ホルモンが増えているのでしょうか?
たとえ、性交渉をながらくしていない女性でもきちんと女性ホルモンは分泌されています。
逆に性交渉の依存症の女性でも心理的な障害があり女性ホルモンが全く出ていない、ということもあるんだそうです。
恋愛や性交渉で、女性ホルモンが増えるというのはあくまでイメージにすぎません。
お肌や髪の毛がツヤツヤになることはあるかもしれませんが、それは女性ホルモンが増えた結果ではないかもしれません。
実は恋愛や性交渉の影響を受けやすいのは卵巣ではなく、むしろ感情を司っている「脳」という可能性が高いのです。
ただし、ストレスのないよい恋愛をすることで女性ホルモンの分泌を司る、脳の視床下部という部分が正常に働くようになるので、卵巣への指令がスムーズに伝わりやすくなる、ということは十分考えられます。
女性ホルモンを増やす方法
女性ホルモンに似た成分のいくつかは、食べ物から摂ることができます。
女性ホルモンに似た働きをする成分の代表格は、大豆に含まれているイソフラボン。
特に、これから更年期を迎えるという女性にとっては注目の成分です。
イソフラボンにはエストロゲンに似た作用があります。
豆乳を意識的に飲んだりイソフラボンのサプリメントや女性ホルモンに似た働きをするハーブなどもあります。
注意したいのは過剰摂取。
イソフラボンは1日の摂取量の上限が30mgと厚生労働省から目安である数値が出されています。
これは女性ホルモンを過剰に摂ったときのリスクが考慮されているからです。
また、イソフラボンを摂取したイコール女性ホルモンが増える、というのは間違っています。
実際には、摂取されたイソフラボンが腸内で代謝されたときに出されるエクオールこそが、女性ホルモンの働きに似た作用をもっているのです。
しかも、このエクオールは限られた腸内細菌を持つ人でないと作り出すことができません。
出典:株式会社ヘルスケアシステムズ
なんと、日本人では半数ほどしかこの腸内細菌を持っていないということもわかっています。
イソフラボンからエクオールを作り出せない人のために、医師が開発したサプリメントもあります。
女性ホルモン自体を増やすことにはなりませんが、エクオールが直接摂りこめるので、体の調子だけでなく心のバランスにも好影響。
39.6g(440mg×90カプセル)
サプリメントや健康食品は基本的にエストロゲンに似た働きをするもので、プロゲステロンの作用を期待するのは不可能なもの。
エストロゲンだけが一方的に働くことで、子宮がんや乳がんなどのリスクを高めてしまうことにもなります。
また、妊娠中や乳幼児は過度の摂取は控えるようにいわれています。
このあたりを踏まえ、上手に利用していきましょう。