ピルというと避妊薬、というイメージが強いのではないでしょうか?
ですが、生理周期を整えてくれるピルは、子宮や卵巣への負担を減らし避妊薬以上の役割ももっているんです。
現代女性は妊娠回数も少なく、婦人科系トラブルがとても増えています。
気になるピルの種類と副作用についても知っておきましょう。
目次
ピルを知ろう~基礎編
避妊薬だけじゃない。知っておきたいピルの役割とは
ピルは「薬」というイメージが強く、抵抗があるという女性は多いものです。実は私もその一人でした。
ですが、ピルの原料は「女性ホルモン」。
大切な二つの女性ホルモン、エストロゲンとプロゲステロンを配合したのが「ピル」なのです。
最近、主に日本で使用されているのは「低用量ピル」というもので、以前使用されていた「中用量ピル」に比べると、副作用もずいぶん軽減されています。
それでも、頭痛・ムカムカするなどその副作用に個人差はありますが、大抵の女性は飲んでいるうちにおさまることがほとんどです。
ピルは主に二種類
低用量ピル
低用量ピルは、日本ではトリキュラーがよく使用されます。
このピルは、妊娠中に分泌される1/20以下のエストロゲンとプロゲステロンを含んでいます。
このピルは主に、避妊を目的と使用されることが多く、副作用は少ないものの「つわり」のような症状をおこることもありますが、大抵は飲み続けるうちに軽減されていきます。
トリキュラーには、21錠タイプ、28錠タイプ、SUNDAYスタートのものがありますが、初心者には28錠タイプがおすすめ。
はじめて飲む場合は、整理開始と同時に飲み始めます。
毎日同じ時間に1錠飲むようにします。
服用開始から22日目からは、「偽薬」と呼ばれるひとまわり大きな錠剤を飲みます。
この期間に、生理のような出血がおこります。
超低用量ピル
ヤーズというピルが有名。超低用量ピルは、低用量よりもエストロゲンが2/3程度しか含まれておらず、月経困難症の方が治療に使用することが多いもの。
海外のいくつかの国では、こちらも避妊薬として認可されていますが、日本ではあくまで月経困難症の治療薬という認識。
避妊目的では処方されません。
ピルで生理痛は緩和されるの?
基本的に、低用量ピルはホルモン剤を21日にわたって服用し、7日休んで出血(いわゆる生理)おこします。
その期間は排卵が抑制されるので、子宮内膜がぶ厚くなることがないので過多月経を防ぐことができます。
子宮内膜症の治療にもピルは用いられており、出血量を軽減することでいやな「痛み」も緩和されるのです。
ピルはどうして支持されているの?
ピルは確実に避妊ができるということだけでなく、PMSの緩和、生理痛の緩和、経血量の減少、卵巣がん・子宮体がんの予防ができるといわれています。
ピルを服用すると、ホルモンバランスが一定になるので、男性ホルモンの働きも抑えることができるので多毛症に悩む方にも効果的です。
現在では、世界中で約1億3千万人が服用しており、日本でも15万人が使用しているそう。
確実な避妊を望む女性だけでなく、多くの婦人科トラブルを抱えた女性にも支持されているのです。
ピルは高額なのでしょうか?
月経困難症の方には、医療保険が適用されます。
それ以外の方は、自費での診療になってしまいますので、かかる医療機関によって異なってきますが、おおよそは月3,000円程度です。
今は、様々な婦人科トラブルで活用されているピルですが、本来は避妊目的のアイテムとされていたため広範囲での保険適用は難しいのです。
ピルを服用したらどんなことがおこるの?~実践編
ピルを飲む前に知っておきたいこと
ピルの飲み忘れ
きちんと飲み続けることがピル愛用者のセオリー。
それでも飲み忘れてしまうこともあるものです。
1錠だけ飲み忘れたのなら、気が付いたそのときにまず1錠飲み、いつも通りの時間にもう1錠飲みましょう。
2錠でも同様の対処でOKですが、避妊目的でご使用の方は注意が必要。
しっかり主治医に相談しましょう。
ニキビが改善される?
生理の前はプロゲステロンが優位になるので、男性ホルモンに似た働きが活発化し、皮脂の分泌が活性化されます。
そのためニキビもできやすくなってしまうのです。
ピルを飲んでいると、ホルモンバランスが整い、男性ホルモンは抑制されるのでニキビや吹き出物はできにくくなります。
飲み始めて不正性器出血を起こすことも
ピルを飲みはじめた女性に多くでる症状のひとつに、出血がおこることがあります。
きちんと服用をはじめるまえに婦人科を受診し、問題がなかったのであれば心配することはありません。
体が徐々にピルになじもうとしている証拠だと考えてかまいません。
しかし、きちんと検診も受けずに服用していて、4シート以上飲んでいるのに出血が続くようであれば、婦人科系の病気を疑ってみましょう。
飲むのを止めたらすぐ妊娠できるの?
ピルが支持されている理由のひとつは、飲むのを止めたらすぐに卵巣が再稼働し、排卵が開始されるというところ。
ですから、妊娠の準備という面では問題ありません。
飲み続けたからといって、妊娠しにくくなるということもないといわれています。
ただ、ピルを飲んでいるから、止めたらすぐに妊娠できる、というのは間違いのようです。
>>ピルを飲んでいると卵子温存?妊活にピルが有効ってホント?
ピルを飲むのに年齢制限はあるの?
35歳以上の服用はとても注意が必要です。
35歳以上で1日15本以上喫煙している人は、ピルを服用することができません。
また、35歳を過ぎて妊娠を希望している、妊娠中、授乳中の方や乳がん、子宮がんなどの疑いのある方も飲むことはできません。
ですが、服用できる、できないは主に年齢よりも個々の状況によって判断されることが多いです。
ピルを服用する?しない?長期的な目で見る副作用
もしも年齢も若く、妊娠を望んでいない、もしくは生理痛を緩和したい、などの理由が明白ならピルを服用してみるのもいいでしょう。
しかし、ピルには血が固まりやすくなる特性があるということもわかっており、長期にわたって服用したことが原因で血栓症になることもあるともいわれています。
せっかく、婦人科系のトラブルを軽減できても血栓症になってしまっては命を落とす危険性も。
ピルを使用したい、またはすでに服用している女性にもきちんとそのことは知っておいてほしいです。
かならず、きちんと検診を受け主治医のアドバイスに従いながらピルとうまく付き合っていくことが重要です。