私たちは日常的に「五感」を使っていますが、実はこの五感、意識をしていないとどんどん感覚が鈍ってしまうんです。
しかも仕事や家事などに追われて忙しいと、自分が疲れていることすら自覚できないことも。
一度意識的に五感を鍛えてみましょう。
目次
五感を鍛えるとどうなる?
五感を鍛えるトレーニングをして、しっかりと五感を取り戻せば自律神経も整って体が求めるもの、自分の心の状態も感じ取れるようになります。
また自分の体の求めることがわかる様になると、直感力が高まって自分に必要なものの判断も適切にできるようになります。
つまり自分自身やまわりへの観察力UPにも。
これは、人間が本来持つ危機管理能力だけでなく、人間関係が整うことにもつながるんだとか。
簡単にできる「五感トレーニング」
是非実践してみてください。
臭覚を鍛えるとどうなる?
最近の日本では衛生面が整っているので目の前に出された食べ物を臭いを嗅いで「食べられる」、「食べられない」と判断することはほぼないでしょう。
消臭文化の発達で、様々なニオイが消されてしまうので臭覚を働かせて「安全を見極める」という力は鈍感に。
「鼻を利かせる」という言葉があるように、本来臭覚は本能と直結している感覚です。
実は、異性との関係にもこの臭覚は大きく関わっているのです。
人間は本来、無意識でニオイによって相手との相性を確認して、恋人になりたいなどという感情を抱くものなのです。
ところが最近では体臭を気にしてケアしてしまう人が多く、その感覚も働きにくくなっています。
自分に合う異性はその名の通り、「嗅ぎ分けたい」もの。
しっかりと臭覚を鍛えることが幸せの糸口になることもあるかもしれません。
臭覚を鍛えるトレーニング
アロマオイルの活用でニオイに対する意識を鍛えましょう。
臭覚を鍛えるのに重要なのは、嗅ぐ「香り」をしっかりと認識することが第一。
そのためには自然素材で作られたアロマオイルが有効です。
アロマオイルは数種類用意しましょう。
そして自分の気分や体調に合わせて「香り」を選ぶようにしてみてください。
繰り返していくうちに、疲れているとき、気分のいい時、などその自分の状態によって欲する香りが違うことに気が付くはず。
選んだアロマオイルはマッサージに使っても、アロマポットで香ってもOK。
大切なのは選んだ香りを嗅いでどう感じたのかを意識すること。
これが臭覚を鍛えるトレーニングになります。
ドイツでは、アロマを常備して具合が悪くなったらまず、アロマやハーブを嗅いで手当することが一般的。
臭覚はただニオイを嗅ぐだけの感覚ではないのです。
触覚を鍛えるとどうなる?
外国人と違って、日本にはハグやすぐ握手をするという習慣がありません。
つまり日本人は人の体に触れる機会が少ないんです。
人間は人の肌に触れると「オキシトシン」が活性化されるということがわかっています。
「オキシトシン」とは脳内物質のひとつで、幸せホルモンとも呼ばれています。
「オキシトシン」が活性化すると気持ちが穏やかになり、触れた相手とのつながりに安心感を感じられます。
スキンシップで触覚を鍛え、育んでいくことは安定したメンタル面を保つ手段のひとつにも。
触れる相手は人間だけでなく、犬や猫などの動物でも大丈夫。
あたたかなぬくもり、自分とのつながりを感じられる対象に触れて、その感触を味わってください。
触覚を鍛えるトレーニング
手だけではなく足裏の感覚も意識的に呼び覚ますのもポイントに。
日本人は昔から室内では靴を脱いで過ごし、伝統的な舞踊なども足袋をはいてすり足で踊るものが多くあります。
しっかりと足裏を地面につけることは、落ちるいて暮らしていくための基本の姿ともいえます。
本来の触覚を鍛えるのなら、裸足で色々な場所を歩いてみること。
芝生、砂浜など自分が気持ちよいと感じられる場所を歩いて、足裏にその感覚を刻み込みます。
さらに帰宅後に靴を履いたことによって縮こまった指の間を広げることも足裏の感覚を活性化させる効果があります。
仕上げは足の指先をしっかりともみほぐして。
聴覚を鍛えるとどうなる?
以前と同じボリュームのはずなのに、なんだか聞こえにくくて音を大きくしてしまう。
テレビや音楽を聴いているときに、そんなことを感じたことのある人は多いはずです。
もともと耳には沢山の音が入ってきていて、その中から必要な音だけを調整しながら拾うしくみがあります。
本来聞きたい音に集中できていれば、たとえボリュームが小さくても聞き取れるもの。
周りの音がうるさく感じたり、聞きたい音をうまく拾えないのは集中ができず「全部の音」を耳が拾ってしまっているんです。
テレビ、音楽を流したままスマホを片手にしていたり、頭の中で他のことを考えてしまっているのではありませんか?
実は音の聞こえ方は耳そのもの以上に集中力も大きく関わっているのです。
集中力が高まれば、聴力UPにつながります。
そして自分の音の聞こえ方が集中力のバロメーターに。
聴覚を鍛えるトレーニング
聴覚を鍛えるには、まずなんとなくつけっぱなしにしてしまうテレビや音楽のスイッチを切ることから始めましょう。
そして呼吸を整え、目を閉じて頭の中に浮かぶものを客観的に見るようにします。
いわば瞑想の時間を設けてみましょう。
常に音が流れっぱなしになっている環境を変え、音を一旦遮断すると聴覚の活性化に。
音の遮断を意識して耳栓をするなどの極端な行為は必要なく、見ていないのにつけていたテレビ、聞いていないのに流していた音楽を消す、という簡単なことで聴覚はだいぶ変化します。
1日1度のリラックスタイムとして「無音」タイムを取り入れてみましょう。
視覚を鍛えるとどうなる?
朝から晩まで酷使されている感覚が視覚。
パソコンやスマホの普及によって、近年は更にその酷使がすすんでいます。
そして文字情報も溢れているので、言語能力を司っている左脳ばかりを使っているひとも増えています。
五感も脳もバランスよく使用することが重要。
右脳を意識的に使用する時間を設けるようにしてみましょう。
大切なのは身の回りにある色々な形、色彩に注目してみること。
散歩に出て葉っぱの色や形の違いをじっくりと見たり、風や木々の香りを楽しむなどするのも効果的です。
右脳を使用することで脳のバランスも整い、酷使され鈍っていた視覚も少しずつ回復します。
視覚が回復すれば、わずかな刺激や変化にも気づけるようになります。
視覚を鍛えるトレーニング
テレビにスマホ、パソコンが身近にある現代人の生活では、視覚には常に強い刺激が与えられています。
日々の酷使の影響で、刺激にマヒしているのも仕方のないことなのかもしれません。
このような生活の中でもバランスを整えるためには、視覚を休める時間を設けることが重要。
まずは、テレビを消して目を閉じ、ラジオに耳を傾ける時間を作ってみましょう。
そして徐々にラジオも消して無刺激な時間を持ってみましょう。
視覚を休めて「使用しない」時間を設けると、ささいな視界の変化にも気が付けるように。
あとは意識して遠くの緑(木々など)を見たり、お花を飾るなども効果があります。
日本古来から親しまれている茶道や華道は、目で楽しむだけでなく手で器に触れたり、香りを楽しんだりと様々な感覚を刺激できるバランスよい文化といえます。
五感を鍛える意味でも、茶道や華道はおすすめなのです。
味覚を鍛えるとどうなる?
最近の若い世代ではコンビニやインスタント食品などの加工食品の大量摂取が懸念されています。
塩分や脂肪分の多く含まれた偏った食生活を繰り返していると、健康によくないだけでなく、味覚を鈍らせることにも。
一度毎日の食事を見直して、素材本来の味に目を向けてみましょう。
こだわりの有機野菜などを購入して、作った人をイメージしたり、収穫された土地を想像しながら、野菜本来のおいしさを生かした調理をしてみましょう。
素材自身の持つ味わいをしっかりと感じ取ることで、鈍感になっていた味覚もリセットできます。
味覚を鍛えるトレーニング
料理の素材よりも大切なのは食べ方。
食べることにきちんと集中しないと、どんなにいい材料を使ってもその味を感じ取ることはできません。
テレビを見ながら、スマホをいじりながら、などの「ながら食い」は絶対にやめましょう。
食べ物を口にし、消化に必要なのは唾液。
唾液は五感を刺激しないと分泌されません。
まずは視覚や臭覚で、料理の見た目や香りを楽しみましょう。
そしてこの料理に使われた材料が、食卓へ上がるまでを想像してみましょう。
そうすることで、感謝の気持ちも自然にわいてじっくり味わいたくなるというもの。
どうしても外食が続いてしまうのなら、旬の食材豊かな和食店を選んで。
薄味で素材を楽しむ名店なら、味覚を高めるのにも効果的です。
そして、料理自体も五感をフル活用する素晴らしいトレーニングのひとつであることも忘れないでください。
五感を鍛えることの大切さ
健康であるがために意識することなく使用することができている五感。
でも、あまりにも自然であることから日々の生活に流され、なんのケアもしないままで過ごしている人が多いのです。
日頃から五感を意識した時間を少しずつ取り入れるようにすると、自分自身のバランスはもとより対人関係や仕事面での好影響も出てきます。
そしていずれも健康につながることも重要。
現代人は五感のいずれもが、酷使しすぎていたり使わなすぎていたりとアンバランス。
しっかりとその感覚を生かして、人間本来が持つ力を呼び覚ましましょう。