春先は身の回りの環境の変化なども多く、鬱っぽくなる「春うつ」が起きやすい時期。
眠れなかったり、イライラしたり、春うつは気温の急激な変化によって自律神経が乱れることでも起こります。
この頃なんだか調子が悪い・・・
そんなあなたももしかして「春うつ」気味なのかもしれません。
過度のうつ症状であれば専門医の受診も必要になってきますが、まずは自分でできることから。
春うつを解消するのに役立つ、食べ物についてまとめます。
目次
春うつ症状① なんだか眠れない
春うつの症状として寝つきが悪くなるというものがあります。
クタクタに疲れているはずなのに、布団に入ってもなかなか眠りにつくことができない・・・
人は元来朝に目覚め、昼間は活動をして夜になると自然と眠くなって眠るもの。
この生活のリズムは、長年人類の体内時計に組み込まれてきたものであり、「体内時計」が大きく関わっています。
体内時計は、眠りや目覚めだけでなく、血圧や体温を維持したりホルモン分泌にも関わっています。
この体内時計の働きに欠かせないもの、それが「セロトニン」です。
セロトニンとは、脳内物質であり精神の安定や鎮痛、そして催眠などの作用のある神経物質です。
セロトニンは「メラトニン」というホルモンに変化し、睡眠を誘います。
睡眠への導きに欠かせないセロトニンを体内で作り出すためには、卵や乳製品に含まれる「トリプトファン」と肉、魚に含まれる「ビタミンB6」が欠かせません。
眠れないからと「寝酒」をする人もいますが、これはあくまで一時的な睡眠誘導に他なりません。
むしろ、良質な睡眠を妨げる原因にもなり、かえって不眠症を引き起こすことも。
セロトニンを作り出すトリプトファンやビタミンB6は、質のよいたんぱく質に含まれています。
たんぱく質は睡眠中の「成長ホルモン」分泌にも役立つので一石二鳥といえます。
つまり、質のよい睡眠を得たいのであれば寝酒するより、鶏肉や卵などを摂取するべき。
肉や魚、ナッツ類、大豆製品などに含まれているトリプトファンは、ダイエットや偏食気味だと不足していることが多いのです。
卵にはトリプトファンもビタミンB6も豊富に含まれいるので、眠れない、と思ったら意識的に摂りましょう。
スープなどに入れて体の中から温めるのも、質の良い眠りを導きます。
温かいスープは体を適度に温めてくれるので、交感神経の緊張も和らげます。
ぐっすり眠るためには以下の右、左双方の食品を合わせて摂る様にしましょう。
質の良い睡眠を得るための食べ物
ビタミンB6 | トリプトファン |
マグロの赤身 | プロセスチーズ |
鰹 | アーモンド |
豚のレバー | ひまわりの種 |
鶏のむね肉 | 肉類 |
鶏のレバー | バナナ |
プロセスチーズ | 赤身の魚 |
ラム肉 | 鰹 |
ピーナッツ | 納豆 |
鰤 | 牛乳 |
卵(全卵) | 卵(全卵) |
脳内ホルモンというものは全てが脳神経細胞で作り出され、人体の生命維持のために脳は体から独立しています。
そのため脳に直接作用するような物質は、すべて血管脳関門で止められ、そう簡単には脳まで運ばれないのです。
脳をリラックスさせるとして「GABA」入りのチョコレートなどがありますが、チョコレートに脳内ホルモンを加えても、脳までは届かないのです。
あくまで自分で健康的な食事を摂って、セロトニンを作り出すことが重要なのです。
春うつ症状② うつ状態
うつの症状に栄養が関わるのか疑問な人も多いかもしれませんが、「うつ」と栄養は深い関係があります。
心の変化イコール脳の変化であり、それらの変化に大きく関わる「脳内神経伝達物質」は、他でもない「栄養」から作り出されています。
神経伝達物質は、抑制系、調整系、幸運系の3つに分かれています。
それぞれを代表するのは、抑制系はGABA、調整系はセロトニン、興奮系はドーパミンやノルアドレナリンなどです。
これらの神経伝達物質がバランスよく働くことによって、私たちの感情に適度な起伏が生まれています。
しかし、必要な栄養が滞れば徐々に心の健康も害され、うつ状態や統合失調症、パニック症候群などにかかりやすくなってしまいます。
脳内のバランスを保ち、神経伝達物質を作り出す源はたんぱく質。
たんぱく質は消化吸収されていく中で、全てがアミノ酸へと分解され、色々な栄養のサポートを受けながら神経伝達物質へと合成されていきます。
心を健康的に保つには、たんぱく質はしっかりと摂るべき。
春うつを訴える人の多くは、ダイエット経験者に多く、お米やパンを好み、甘いものが好きという傾向もあるそうです。
偏った食生活や過度の糖分摂取は、体だけでなく心の健康も脅かしてしまうのです。
春うつ改善に避けておきたい食べ物
感情を不安定にさせる食品 |
白米、食パン(精製食品) |
清涼飲料水 |
スナック菓子 |
インスタント食品 |
洋菓子・和菓子 |
砂糖などの甘味料 |
市販の揚げ物 |
私たちが必要とする1日のたんぱく質量は、体重1キロあたり1.5グラム程度です。
つまり体重が50キロならば、75グラム程度が理想的。
例えば豚肉100グラムには、22グラムほどのたんぱく質が含まれていますが、この全てが吸収されるわけではありません。
消化酵素はたんぱく質から作り出されるので、腸内環境が悪ければたんぱく質をきちんと消化吸収できないことも。
春うつの症状を和らげるには、脳の神経伝達物質を作るのに欠かせないたんぱく質摂取がカギ。
甘いものなどを食べて気晴らし、なんてことはせずにお肉やお魚をしっかりと摂りましょう。
たんぱく質が豊富に含まれる食べ物
たんぱく質豊富な食べ物 |
鰹節 |
鶏のレバー |
ホタテ |
するめ |
高野豆腐 |
イワシ丸干し |
鰹 |
鶏のむね肉 |
パルメザンチーズ |
鯖水煮缶 |
ちなみに、春うつの発症者の中には「機能性低血糖症」の人も多くいるといわれています。
これは血糖値が低いことが問題なのではなく、1日の中で血糖値が安定しないことが問題。
血糖値が乱高下したり、反応がないと交感神経が緊張して心の乱れを生み出します。
うつだと思い込んでいた人が、この機能性低血糖症であった、ということも少なくありません。
血糖値の不安定を招くのは、糖質。
人気のパンケーキ、ドーナツなどは糖化の促進にもつながるため控えておいた方がよいでしょう。
春うつ症状③ イライラする
イライラはカルシウム不足。
そう思い込んで牛乳をがぶ飲みしても、あまり意味はないようです。
イライラの原因はストレスや脳内ホルモンのバランスの乱れ、そして血糖値の乱高下などがあります。
神経の興奮を抑えてくれる「トランキライザー」の働きを持つカルシウムは、神経伝達物質のスムーズな運搬にも欠かせません。
イライラすることで、カルシウムはマグネシウムとともに消費されてしまいます。
そのため、現代人には常に不足しがちな栄養であることもわかりますね。
体内のカルシウムの濃度が下がると、人体は骨に蓄えられているカルシウムを溶け出させてどうにか濃度を保とうとします。
つまり、慢性的なカルシウム不足はどんどん骨ももろくするということ。
マグネシウムとカルシウムは、セットで動くパートナーのようなものです。
カルシウムだけを摂取してもまったく意味はありません。
必ず、マグネシウムと合わせて摂取することを心がけましょう。
イライラ解消に効果的な食べ物
マグネシウム | カルシウム |
ひじき | ひじき |
ワカメ | パルメザンチーズ |
海苔 | ごま |
イワシの丸干し | ワカメ |
しらす | 高野豆腐 |
パルメザンチーズ | イワシ丸干し |
桜えび | ししゃも |
ごま | 海苔 |
アーモンド | アーモンド |
切り干し大根 | 桜海老 |
カルシウム、マグネシウムを豊富に含む代表的な食べ物はひじき。
その他にも食物繊維や鉄、βカロテンなども豊富に含んでいます。
しかしながらその調理法には注意も必要。
昔ながらのおかず、ひじきの煮物は塩分も高くなり味も濃いので、塩分、糖質、いずれも過剰に摂りすぎることにもなりかねません。
ひじきはなるべくあっさりと仕上げられるレシピで活用したいものです。
そしてパルメザンチーズは、おやつにも最適。
パルメザンチーズは、新鮮な牛乳とミネラルの豊富な塩水で作られ、長ければ5年も発酵熟成されています。
牛乳が凝固していく過程で人体に消化されやすい形へと変化しているため、小魚や牛乳を飲むよりも体内に吸収しやすくなっています。
しかもパルメザンチーズはアミノ酸の結晶でもあることから、うまみ成分もたっぷりでカルシウムもマグネシウムも凝縮されています。
スーパーなどのチーズコーナーでも最近では多くのパルメザンチーズが販売されています。
政府のお墨付きともいえる「DOP」の刻印のあるそのチーズだけが、「パルミジャーノ・レッジャーノ」と名乗れています。
イライラ解消のおやつに試してみましょう。
またビタミンCもイライラ解消の手助けをしてくれる重要な栄養素。
たんぱく質が神経伝達物資へと作り替えられる際に、ビタミンCも欠かせません。
ただし、ビタミンCは2~3時間程度しか体内に留まることができません。
こまめな摂取が必要なのです。
春うつの対策まとめ
この記事では春うつ対策に効果的な食べ物をご紹介してきました。
しかし、毎日の生活の中で意識しておくべきことも忘れずに。
日々の適度な運動はもちろん、意識的に歩くことを心がけてみましょう。
またセロトニンを作り出すために、太陽の光を浴びることも重要です。
春うつだ、と引きこもらずに、体を動かしたり朝の散歩をしてみるなどリフレッシュを。
なによりストレスは発散して、無理をしすぎないこと。
自分だけでしょいこまずに、専門医に相談することも視野にいれておきましょう。