突然ですが、あなたは「スーパーイソフラボン」を作り出す腸内細菌を持っていますか?
最近、乳がんや前立腺がん予防になるという「スーパーイソフラボン」であるエクオール。
このエクオールは前回の記事でも書いたように、誰しもが作り出せるものではないんです。
ズバリ決め手は各個人の腸内細菌にかかっています。
目次
大豆を食べたら乳がん、前立腺がん予防に?
欧米やヨーロッパ諸国の成人男性に最も多い罹患率をたたき出しているのが、前立腺がんです。
その一方でアジア諸国の成人男性は、前立腺がんになる人が少ないことが明らかとなっています。
この人種による差の要因のひとつとしてあげられるのが「大豆」。
欧米人やヨーロッパ諸国の人々に比べると、アジア人の大豆摂取は圧倒的に多いもの。
大豆に含まれているポリフェノールである「イソフラボン」が、女性ホルモンのような働きをするなど、様々な働きを見せ「がん細胞」が増殖するのを妨げるといわれています。
イソフラボンには3種あり、
・ゲニステイン
・ダイゼイン
・グリシテイン
この中のダイゼインが腸内細菌と関わりエクオールへと変化します。
大豆イソフラボンの乳がん予防効果とは
乳がんの場合、血液中の女性ホルモン「エストロゲン」は、がん細胞の細胞膜に存在する受動体と結合して細胞の増殖を促進。
イソフラボンとエストロゲンの構造は、非常によく似ているため双方があたかも陣地取りをするかのように、受動体を奪い合っています。
争いに勝って、受動体と見事結合したイソフラボンは、エストロゲンと比べるとがん細胞への活性が弱く、がんのリスクを下げることになります。
そして前立腺がんの発生に関わっている男性ホルモンも、イソフラボンの影響を受けることもわかっています。
イソフラボンがなければ、エストロゲンが邪魔をされることなく乳がん細胞の受動体と簡単に結合して、乳がんの細胞の増殖を促進してしまいます。
若い人に不足しているエクオールを作り出す力
大豆のイソフラボンの素晴らしい効果はわかったけれど、実は同じように大豆を摂取していても、前立腺がんの罹患率には差が出てしまうことが明らかに。
その個人差には「腸内細菌」が大きくかかわっていることもわかりました。
イソフラボンの1種である「ダイゼイン」は、腸内細菌によって活性の強い「エクオール」へと変えられます。
アジア人のこの腸内細菌保有率は高いのですが、欧米人やヨーロッパ諸国の人々はほとんどこの腸内細菌を持っていないといいます。
またハワイなどに移住した日系人も、エクオールを生み出せる腸内細菌を持つ人が激減傾向にあるとか。
そのため同じように大豆を摂取していても、日本国内に住んでいる日本人よりも乳がんや前立腺がんの罹患率が高いそうです。
エクオールは日本人で2人に1人しか作れない
エクオールとは大豆に存在しているイソフラボンとは異なり、あくまで腸内細菌を介してできる「スーパーイソフラボン」です。
その働きから乳がんや前立腺がんの発症リスクを下げる効果があることはわかっていても、エクオールを作り出す腸内細菌を保有している日本人は2人に1人であるといわれています。
そして実は年齢によっても差がでていることも明らかになっています。
50歳代の日本人は、半数以上がエクオールを作り出す優秀な腸内細菌を持っているのに対し、30歳代になるとかなり減少し、若い世代ほどエクオールを作り出す腸内細菌を持っていません。
日本人の乳がん、前立腺がんの罹患率は急上昇しています。
これもエクオールが作り出せないことが大きく関わっているといわざるを得ません。
やはり、若い世代の大豆摂取量の現象も腸内細菌の変化にかかわっているのです。
エクオールが作れない人はどうすべきか
では、大豆を摂取してもエクオールを作り出す腸内細菌を持たない人はどうしたらよいのでしょうか?
すでにエクオールを作り出せる腸内細菌のいくつかは発見されていますが、現段階では腸内へ移す方法は見つかっていません。
仮に、エクオールを作り出す腸内細菌を持っている人であれば、1日に豆腐を1丁も食べれはがん予防になります。
そして、エクオールを作り出せないとしても、イソフラボン中に含まれる「ゲニステイン」によって、がん予防効果を期待することはできます。
つまり、いずれの人も納豆や豆腐などの大豆製品を積極的に摂ることは、がんのリスクを下げることに繋がります。
毎日、大豆製品を意識的に摂る様にしましょう。
毎日の小さな積み重ねが乳がん、前立腺がん予防には欠かせないのです。