頻繁にゲップやおならが出て困っている・・・
お腹が張って苦しい・・・これらの悩みは消化器に溜まった「空気」によっておこるもの。
人は常に、唾液と一緒に少量の空気を飲み込んでいるものですが、飲み込む空気の量が通常よりも多くなり、それによって不快な症状が起きることを「呑気症(どんきしょう)」といいます。
もともとは、早食いだったり、炭酸飲料を飲みすぎることによって空気の量が増えるとされていましたが、最近ではストレスなどで自覚のないうちに歯を嚙みしめることが、大きな原因であることがわかってきました。
これを、噛みしめ呑気症候群と呼び、消化器以外にも頭痛や肩こりなどの症状がでるのも特徴のひとつです。
最近の20代、30代に急増しているといわれる噛みしめ呑気症候群について、知っておきましょう。
目次
噛みしめ呑気症候群の原因とは
お腹に溜まる空気の70%は、唾液と一緒に自ら飲み込んだもの。
すなわち、空気が溜まりやすい人は唾液を飲み込む回数が多いといえます。
そして、頻繁に唾液を飲み込んでしまう原因は、ストレスなどによる緊張で無意識に「歯」を噛みしめてしまうことにあります。
リラックスしているときは、上下の歯は離れており口の中にも空洞があります。
唾液は、口の中で徐々に溜まり、タイミングで飲み下されていきます。
しかしながら、緊張を感じると顔の筋肉も緊張してしまうので、どうしても上下の歯が合わさりやすくなってしまいます。
こうなると、舌も上あごにつくために口の中の空洞がなくなり、唾液は喉に近い部分に溜まることになります。
その唾液を常に飲み込むことが必要になるため、同時に多くの空気を飲み込んでしまうことにつながっているのです。
噛みしめ呑気症候群は20代、30代の女性に多い
仕事においての変化や、親族の不幸など何らかのきっかけによって噛みしめ呑気症候群を発症するケースがほとんどだといわれています。
仕事をしながら、結婚、出産、育児、
噛みしめ呑気症候群はそんな人生の中においても最も多忙であり、ストレスを抱える年代に増えているのです。
そして、「おなら」も女性の方が深刻にとらえがちで、出したくでも我慢してしまうという人は少なくないためガスを溜めてしまう悪循環をおこしてしまうのです。
噛みしめ呑気症候群の症状とは
噛みしめ呑気症候群の主な症状は、
・おなかが張り、おならが出る ・あごに痛みがある
・肩、首のコリがひどい ・頭痛がおこりやすい
・耳鳴りがする ・少量の食事で満腹になる
・げっぷがよく出る
などです。
このほかにも、ふわふわとしためまいや、目の痛みを生じる人もいます。
飲み込んだ空気がまず溜まるのは、胃。
最初は、げっぷが頻繁に出たり胸やけがする、という症状が起きます。
さらに、その胃の中の空気が6~8時間かけて腸に移動すると、お腹の張りや頻繁におならが出るといった悩みの原因に。
お腹の症状は、夕方から夜にかけて、または朝の起き抜けに起きることが多いようです。
また、噛みしめ呑気症候群の人は常に歯を噛みしめているため、胃腸以外の場所にも影響がでてきます。
代表的なのが、頭痛、肩や首のコリ。
また、歯の食いしばりによる歯痛、顎の痛み、耳鳴りなどもよく見られる症状です。
これらの症状は、自覚のないうちに起きていることがほとんどなのも噛みしめ呑気症候群の特徴です。
そして、ここの症状について受診しても診断がつかないことも多いので、消化器以外にも首や顔、頭痛などの症状があるようであれば疑ってみましょう。
噛みしめ呑気症候群のセルフケア
①気が付いたら上を向く
噛みしめ呑気症候群かもしれない、と思ったら第一に気をつけたいのが上下の歯を必要以上に合わせないようにすること。
本来、唇は閉じていても歯は、上下が触れていないのが普通です。
意識的に口の中に空間を作る様に意識しましょう。
この、本来の状態に戻すのに有効なのは「上を向くこと」。
上を向くと、上下の歯が離れて舌も下に戻ります。そのまま正面をむくようにしましょう。
デスクワークの人などは、顎にチカラが入っているなと感じたら、適度に上を向きリラックスする時間を設けましょう。
②姿勢は正しく
実は歯の噛みしめの強さというものは、姿勢ととても関係が深いのです。
人はどうしても緊張すると、顔や首にチカラが入りうつむきがちになります。
顎をひくと、歯が合いやすくなり唾液の飲み込みも頻繁に。
特に、デスクワークなどで前かがみになって長時間仕事している人は要注意です。
背筋はしっかりと伸ばし、うつむき気味になるのを防ぎましょう。
座っているときは、お腹を前に出すようにし、腰椎をそらすようにするのがおすすめです。
③お風呂でリラックス、マッサージ
噛みしめ呑気症候群になってしまう最大の要因はストレス。
できるだけリラックスする時間を作れるようにしたいものですが、平日はなかなか難しいという人も多いですよね。
せめて、自宅に帰ったらゆったりとした時間を過ごしたいもの。
入浴はシャワーだけで済まさずに、ゆったりと湯船につかる習慣をつけましょう。
そうすることで、浮力によって全身がリラックスできます。
そして、この時に首筋や口の周りの筋肉をマッサージして和らげるとさらに効果が期待できます。
この、少しのリラックス、マッサージでも、症状の軽減につながります。
④最後の手段はマウスピース
セルフケアでもどうにも症状が軽減されない・・・という場合は専門家のクリニックを受診してみましょう。
とても有効なのは、「嚥下反射防止(えんげはんしゃぼうし)スプリント」というものを作ってもらうこと。
これは左右の奥歯部分に、やや高さのある透明なマウスピースをかぶせ、上下の歯を触れないようにするものです。
これをつけることによって、唾液の飲み込み回数を減らすことができます。
一般的に、このマウスピースを装着するのは日中のみで、数日たてば違和感も減り会話も支障なくこなせるようになります。
このマウスピースの作成は、歯科と提携している診療内科などに相談するのがおすすめです。