まだまだアルツハイマーなんて心配しなくても大丈夫。
なんて思っている3、40代は多いものですが、最近では若年性のアルツハイマー患者も増加傾向にあり、他人事ではないのですよ。
健康的に長生きしながら、アルツハイマーを回避していくためには良質な睡眠が大きく関係しています。
あなたは大丈夫?
目次
アルツハイマーの原因:βアミロイドとタウ
アルツハイマー病は、海馬の萎縮し神経伝達組織の機能低下が原因です。
なぜ海馬が萎縮してしまうのか?
それは、βアミロイドやタウと呼ばれるタンパク質が脳に蓄積してしまったり、過剰なリン酸化が起きてしまうことでおこります。
睡眠中にβアミロイドやタウが掃除される?
人間は、日中の活動の中でいろいろな経験を脳に取りこみ、分析をしてデータ分けしています。
そして睡眠時にトリプトファンなどの必要な栄養素を取り込んで不必要な記憶などを整理しています。
アメリカの大学の研究チームは、この睡眠中にこそβアミロイドやタウなどの有害物質を掃除しているのではないかと、マウスを用いた実験において睡眠中は脳脊髄液の移動が多いことを発見しました。
つまり、日中に生じたβアミロイドやタウなどが睡眠中に脳脊髄液が循環しながら排出されていることから、睡眠不足や質の悪い睡眠を繰り返しているとβアミロイドやタウなどが蓄積しやすくなり、アルツハイマー病の発症リスクを高めるということになります。
また別のシンガポールでの研究でも、睡眠時間が1時間短いと1年ごとに0.59%も脳の隙間が拡大し、認知機能も1年ごとに0.67%も低下するという研究結果を発表しています。
睡眠の質は加齢とともに低下
睡眠は時間だけではなく、その深さも重要
最近では、日本人の4人に1人が度合は別として、睡眠障害を抱えているといわれています。
歳を重ねていくと、よく眠れない、何度も起きてしまう、などの声が聞かれるようになりますが、これは医学的にも明らかにされており、睡眠の質は20歳がピークで緩やかな低下をはじめ、40歳からは一気に低下するということがわかっています。
歳をとるほどに睡眠時間が短くなる、ということではなく平均睡眠時間は高齢になるほど増えています。
つまり、長い時間眠っているようでも十分に良質な睡眠が取れていないことをあらわしていて、浅い眠りで長時間眠ることが増えていくことを意味しています。
睡眠の質を決めるのは「メラトニン」
ノンレム睡眠とレム睡眠
一般的に朝陽にあたると夜になると増加し、体内時計がうまく働くためメラトニン(睡眠ホルモン)が眠る1~2時間前から分泌されはじめ、深夜の2時~3時に更に多く分泌され、ノンレム睡眠といわれる深い眠りをもたらします。
これはいわゆる熟睡といわれる状態であり、体の内部の温度がしっかり下がることで先ほどふれたβアミロイドやタウなどのお掃除が行われます。
この深い眠りに大きく関わるメラトニンは、残念ながら中高年になると分泌量が減少するので、レム睡眠という浅い眠りが長くなり夜中に何度も目が覚めてしまったり、朝とても早く起きてしまったりすることにつながります。
年齢とともに、睡眠の質が落ちてしまう一番の要因はメラトニンの減少によって体内時計がくるってしまうことにあるといえます。
アルツハイマー防止!質の良い睡眠とは
上で書いたように質のよい、深い眠りを得ることはアルツハイマー病の予防につながるといえます。
ではどうすれば質のよい睡眠をとることができるようになるのでしょうか?
質のよい睡眠をとるためのポイント6つ
①太陽の光を浴び、メラトニン分泌を活発に
前にも触れましたが、メラトニンは太陽の光をあびた15、6時間後に分泌されます。
朝陽をしっかりと浴びることで、夜、メラトニンの分泌を促すことができるのです。
不規則な生活は、メラトニン分泌を妨げるので毎日規則だたしい生活を送ることが大切です。
②日中活動量を増やそう
深い眠りを得るには、適度の疲労感も重要です。
元気に1日中動き回っている小さな子供は、とても良質な睡眠を得ることができています。
ちょっとした散歩や家事、ストレッチをするなど、年齢が高くなっても意識的に体を動かしましょう。
③夕方の運動は効果的
夕方、適度な運動をしたり眠る2時間まえに入浴すると体の深部体温がさがりやすくなるので良質な睡眠を得やすくなります。
このような体温のメリハリは、体内時計の調節にも大きくかかわります。
④朝は同じ時間に起床
毎日起きる時間を一定にすることで、体内時計がきちんと働いてくれる環境を作りやすくなります。
⑤睡眠環境
眠る前に、強い光を浴びるのはメラトニン分泌を減少させる大きな原因となります。
眠る時間が近づいて来たら、間接照明などの光でゆっくりリラックスして過ごしましょう。
眠る寸前まで、テレビやPC、スマホをいじるのはご法度です。
人間は室温が16~26度で、湿度5~60%だと良質の睡眠をとることができるといわれています。
⑥適度の昼寝
最近お昼休みに、社員に20分程度の昼寝をさせるようにしている会社があると聞いたこともありますが、30分以内の適度な昼寝は仕事の効率を高めるだけでなく、アルツハイマー病の発症リスクを低減するともいいます。
しかし、しっかりと1時間以上眠ってしまうと逆効果になりますので要注意です。
他人事ではないアルツハイマー病の発症。
まずは、良質な睡眠をしっかり得て、規則正しい生活、適度な運動を心がけていくことが大切です。