日本人には馴染みの深い「大豆」。
その語源は、「大いなる豆」であるといわれ、昔の人々も大豆が持つ力に気が付いていたのでしょう。
畑のお肉とも言われて良質なたんぱく質を持つ大豆だけれど、他にも栄養や健康効果が沢山あるんですよ。
今日は身近な大豆を見直す、そんな大豆パワーについてまとめます。
目次
大豆に含まれる8つの栄養とは
1.たんぱく質
たんぱく質は私たちの筋肉、内臓を構成している重要成分。
このたんぱく質配合率が、大豆は100g中およそ35gと、食物のなかでもトップクラス!
その上、たんぱく質を構成するアミノ酸のうちの体の中で合成できない「必須アミノ酸」のバランスを表す「アミノ酸スコア」も高く、その良質なたんぱく質がお肉にも引けを取らないことから、大豆は「畑のお肉」ともいわれるようになりました。
2.大豆オリゴ糖
大豆には、糖質の一種であるオリゴ糖が含まれています。
大豆オリゴ糖は、消化分解されずにそのまま大腸にまで行きつくことができ、善玉菌のエサとなってお腹の調子を整えてくれます。
甘味は砂糖の7割程度あるといわれますが、カロリーが低いのも大豆オリゴ糖の特徴です。
3.不飽和脂肪酸
大豆100g中に約19gの脂質が含まれており、その脂質はお肉などの物とは違って、血液中のコレステロール値を下げる効果があるといわれている「不飽和脂肪酸」です。
この不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを減らして、善玉コレステロールを増やす働きのある「リノール酸」が5割以上を占めています。
4.レシチン
最近特に注目されているのが、大豆に含まれる脂質のレシチン。
レシチンは生体膜のとても重要な成分で、血液中のコレステロールを肝臓に運んで、体外への排出を促してくれます。
さらに最近分かったのが、レシチンが脳の情報伝達や記憶に欠かせない成分であるということ。
そのことから認知症の予防への応用も検討されています。
5.ビタミンB群
ビタミンB群は、エネルギー代謝、脳や神経や皮膚などの健康を保つのに必要不可欠。
大豆には、このビタミンB群が豊富に含まれています。
6.大豆サポニン
サポニンとは、大豆をゆでた時に出る泡の成分のこと。
とても強い抗酸化作用があり、動脈硬化の原因になる過酸化脂質の生成も抑制してくれます。
7.大豆イソフラボン
大豆イソフラボンは、ポリフェノールの一種で女性ホルモンととてもよく似た働きをします。
そして、骨のカルシウムが溶け出すのを防いでくれます。
8.食物繊維
大豆に含まれる食物繊維は、食物繊維の代表格であるゴボウよりも多く含まれています。
ゴボウ100g、大豆100gで比べると、ゴボウの食物繊維量が約6g程度なのに対し、大豆にはその3倍の約17gが含まれています。
9.ミネラル
大豆には、健康な骨、丈夫な歯を作るために欠かせないカルシウムや、細胞の正常な活動を助けるカリウムなどのミネラルもとても豊富に含まれています。
大豆加工食品を上手に摂ろう
大豆加工食品の栄養成分とは
おつまみでも知られる「枝豆」。
枝豆が大豆であることを知らない人も多いのではないでしょうか?
枝豆は成長途中の若い大豆で、緑色である枝豆には大豆と緑黄色野菜の双方の良い特徴をあわせ持っています。
そして、大豆を光に当てずに発芽させる「大豆もやし」には材料となっている大豆にはほとんどなかった「ビタミンC」が急増します。
ビタミンCは体内合成ができないので、食品から摂るしかありません。
そして、一般的な大豆加工食品もそれぞれ、その特徴があるので知っておきましょう。
1.蒸し大豆、煮豆
大豆の栄養成分をほとんど残して食べられるのが「蒸し大豆」。
煮豆とは、硬い大豆を水で戻してから柔らかく煮たものです。
煮豆はたんぱく質やイソフラボンなどが煮汁に溶け出すため、これらの含有量はどうしても少なくなります。
2.おから・豆乳
おからは、すりつぶした大豆を絞り、豆乳を除いた「残りかす」です。
たんぱく質、カルシウム、ビタミンB群も含まれ、豆腐になると失われてしまう食物繊維もたっぷり含まれています。
豆乳は、液体なので消化吸収に優れ、その上たんぱく質は同量の牛乳よりも多く含まれています。
3.味噌
味噌は蒸した大豆に、塩と麹を加えて発酵・熟成させたもの。
発酵することによって、大豆の栄養成分はより消化吸収しやすく分解されます。
また、酵母菌の作用により腸内で乳酸菌などの善玉菌も増加します。
4.納豆
納豆は、蒸した大豆を納豆菌で発酵させたもの。
納豆菌には血栓を溶かす働きを備えた「ナットウキナーゼ」や、整腸作用のある「プロテアーゼ」などの分解酵素を生み出してくれます。
発酵していく過程で、ビタミンKなども増加します。
5.豆腐
豆腐は豆乳に、にがりを加えて混ぜ、固めたもの。
大豆に比べて水溶性のビタミンB群やサポニンは減少してしまうものの、カルシウムはむしろ増加します。
とても消化がよく、胃腸の弱いひとにもおすすめです。
6.きなこ
きなこは大豆を炒って、丸ごとつぶしたもの。
栄養面で見ると大豆とほとんど変わりません。
粉にした分、丸いままの大豆よりも栄養が吸収されやすく、食物繊維が豊富なのも特徴です。
炒ることで香ばしさもあります。
大豆を摂るときの注意点
厚生労働省は、大豆などの豆類を成人なら1日100g以上摂ることを推奨しています。
ところが実際には、約63g程度しか摂取できておらず、特に若い世代での摂取量の低下が目立っています。
そのため毎日2、3品の大豆食品を摂ることがすすめられています。
ちなみに、納豆菌なら3日くらい腸内で生き続けているので2~3日に1回食べればよいともいわれています。
こんなことに注意!
アレルギー
大豆たんぱく質によって、アレルギーを起こすことがあります。
特に注意したいのは、豆乳や大豆飲料です。
これらの大豆たんぱく質の吸収率は非常に高いので、他の大豆食品では全く症状が出ない人でもアレルギーを発症してしまうこともあります。
納豆と薬の飲み合わせ
心筋梗塞などの治療や予防に用いられる「ワルファリン」は、血を固まりにくくする抗凝血薬です。
納豆に含まれているビタミンKは、ワルファリンの働きを阻害してしまうので、ワルファリン服用者は納豆を食べないようにしましょう。
醤油や味噌の摂りすぎ
醤油や味噌の製造過程には塩が用いられます。
そのため摂りすぎると塩分過剰摂取となって、血圧の上昇などを招いてしまいます。
血圧をすでに気にかけている人は、減塩タイプを使うようにしましょう。
サプリメントの摂取量
大豆イソフラボンの過剰な摂取は、ホルモンバランスを崩す可能性があります。
特定保健用食品やサプリメントによるイソフラボンの摂取量は、「アグリコン型」で1日30mgまでが目安。
乳がんの経験や妊娠中の方、お子さんにはおすすめできません。
※イソフラボンにはグリコシド型(配糖体)とアグリコン型があります。
体に吸収される際には糖が切り離されてアグリコン型となります。
最近注目されているエクオールとは
エクオールとは、イソフラボンの一種である「ダイゼイン」が腸内細菌によって代謝されることでできるもの。
そしてイソフラボンと比べても、より強い女性ホルモンに似た働きを持つということが分かっています。
ところがこのエクオール、自身の体で作り出せるのは日本人女性のうちの約半数であるということも報告されています。
つまり、どうしても作り出せない人が半数もいるということになります。
最近では、大豆や魚を多く食べている人に、エクオールを作り出せる人が多いという調査結果もあるようですが、いきなり食べだしたからと言ってエクオールが作り出せるように体質が変化する、ということはないようです。
そのため最近ではエクオールを摂取できるサプリメントも多く販売されるようになりました。
年齢とともに、女性には補ってほしいエクオール。
大豆と上手に付き合いながら、必要な分はサプリメントで補って。