ひとえに「冷え症」といっても、その症状によって対策法も異なってきます。
実際に、冷え症は肩こり・腰痛・生理痛をはじめとしてあらゆる病気の原因になったりします。
冷え症は改善しようとしなければ進行する一方なので、将来的には大病につながってしまうことも。
重要なのは自分の「冷え症のタイプ」を知り、それにあった対策法をすることです。
目次
どうして冷え症になるのか
東洋医学では体の健康を保つためには「気・血・水」の3つのバランスがよくきちんと循環することが必要不可欠であると考えられています。
「気」は心身の活動に絶対に必要なエネルギーであり、「血」は血液、「水」は血液以外の体液をあらわします。
このうちのひとつでも働きが悪くなると、すべての循環に支障が出て「冷え症」をはじめとするあらゆる病気や不調の原因になります。
冷え症にはタイプがある
冷え症には6つもの種類があり、いくつかを併せ持つ人が多いです。
元々の体質だけでなく、生活環境や年齢によってはどの冷え症タイプにもなり得るし、状況によって変化することもあります。
大切なのは、まず自分の冷え症のタイプを知り、それに合った対策方法を知ること。
こちらの人には効果がある、という対策方法が、別の人には逆効果だったということもよくあるのです。
冷えが引き起こす不調とは?
冷え症は全身の血流に影響を与えるため様々な不調を引き起こします。
一見、全く関係ないと思われがちな「頭痛」「肩こり」「吹き出物」なども冷え症が原因なこともあります。
生理痛や生理中におこるお腹のハリや便秘、下痢などの症状もすべては「冷え」が要因になっていると考えていいでしょう。
冷え症が改善されると生理時の悩みも激減することが多いです。
冷やしてはならない体の部位とは?
体のパーツの中でも特に冷やしてはいけないのが「お腹」「首の後ろ」「足首」の3カ所です。
お腹をあたためると、臓器の働きが活発化するので代謝機能が活性化します。
また、首の後ろは太い血管が通っているので、温めることで全身に血液がめぐるようになります。
足先が冷えてしまいがちな人は、足首を温めると効果的です。
6つの冷え症の種類とタイプ別対策方法
2~3タイプは併せ持っているのでミックスして考えよう
1.虚弱体質で寒がりな全身冷え
体全体が冷えているので体温も36度以下など低め。
「気」が不足しているとなりやすい冷えといえます。
しかし、自分で冷えているという自覚があるので冷え症のなかでも一番対処はしやすい冷えといえます。
<全身冷えの特徴>
・食欲不振 ・食後に眠気がおこる ・胃の調子が悪い
・体力がなく常に倦怠感がある
・風邪をひきやすく気管支炎になりやすい
<全身冷えの生理の特徴>
・月経周期が短い ・経血量が少ない
・血の色は淡い赤でサラっとしている
・月経前や排卵期に風邪をひきやすい
・腸が弱く月経時に下痢しやすい
<全身冷えのお肌の特徴>
・疲れが肌にでやすい ・顔色が悪い
<全身冷えの冷え症対策とツボ>
両手の手の指を交差させて組み合わせ、すべての指に力を入れて指の股や指の側面をはさむように押し合う。
仕上げに指を1本ずつ上に引っ張ること。
足のうちくるぶしの頂点から指4本分上にあるのが「三陰交」というツボです。
三陰交は冷え症解消のツボとして知られています。
両手で足を包み込むようにしながら、親指を重ねて押しましょう。
2.肌荒れや抜け毛に悩む乾燥冷え
冷えによって血液循環が悪くなっているので常に顔色が悪いのが特徴。
「血」がアンバランスだとなりやすく、お肌や髪は乾燥しているのに胃の中がちゃぷんちゃぷんしていることも。
<乾燥冷えの特徴>
・汗をほとんどかかない ・不眠症気味である
・のぼせや疲れが出るので長風呂できない
・髪の毛がぱさつく ・抜け毛や切れ毛、フケが多い
・爪が薄く割れやすい ・すぐ口が渇く
・あざができやすい
<乾燥冷えの生理の特徴>
・月経周期は遅れやすい ・生理痛は月経の終わりころにある
・経血量は少なめ
<乾燥冷えのお肌の特徴>
・乾燥して血色がわるい ・クマができやすい
<乾燥冷えの冷え症対策とツボ>
背筋を伸ばして椅子に深く座りましょう。
次に片足だけ正座をするように曲げてお尻のしたにしきましょう。
デスクワークなど座ったままの仕事でもできるので取り入れやすいです。
左右両方行いましょう。
膝の皿の内側の上端から指3本分上にあるのが「血海」というツボです。
血海は寒気やめまいに聞くツボとして知られています。
両手の親指を重ねてかなり強めに押すのがコツです。
3.憂鬱で元気のでないうつ冷え
冷えで血液循環が悪化していることにより、代謝を正常に保つ自律神経の働きが乱れている状態。
「気」のバランスが崩れるとなりがちです。
特にうつ冷えは月経時になる女性が多いです。
<うつ冷えの特徴>
・めまいを良く起こす ・不安感や倦怠感が強い
・ストレス性の下痢や便秘が多い
・お腹が張りやすい ・よく胃が痛くなる
・空咳が多い ・なかなか寝付けない
<うつ冷えの生理の特徴>
・月経周期が安定しない ・経血量は少なめ
・月経時、排卵日前後は気分が落ち込みやすい
・月経前、排卵日前後にお腹が張ってくるしくなる
<うつ冷えのお肌の特徴>
・血色がよくない ・お肌のハリがない
<うつ冷えの冷え症対策とツボ>
気分のすーっと軽くなる全身のストレッチが有効です。
仰向けの状態で、全身を上下にぐーっと伸ばしましょう。
思い切り伸ばしたら、一気に脱力します。
これを繰り返しましょう。
気分が晴れないときに行うと効果的です。
4.足腰が冷えて不眠がちな下半身冷え
手足の先端が冷えてしまう、と感じている人はこのタイプです。
「血」のバランスが崩れるとなりやすく症状が悪化すると、足裏や上半身がのぼせる「冷えのぼせ」にもなってしまいます。
<下半身冷えの特徴>
・肩こりが酷い ・口が乾きやすい ・顔や手がほてる
・冷えると尿意が近くなる ・冷えるとお腹が痛い
・症状が悪化してのぼせるようになり入浴がイヤになる
<下半身冷えの生理の特徴>
・月経周期は遅れ気味 ・経血は赤黒く、多め
・レバー状のかたまりがでやすい
・月経前、排卵日前後にニキビや便秘、肩こりがひどくなる
<下半身冷えのお肌の特徴>
・シミ、そばかすが多い ・顔色や唇の色がくすんでいる
<下半身冷えの冷え症対策とツボ>
足先までポカポカするように片足上げストレッチをしましょう。
箱や階段など台のかわりになるものに、片足をかけます。
かけた足に体重を乗せたままお尻を伸ばします。
腰を両手で支えて、お腹を突き出すように押しましょう。左右行ってください。
お尻の丸みのすぐ真下にあるのが、「承扶」というツボです。
承扶はお尻の冷えに効果があると知られています。
人差し指、中指、薬指の3本でお尻を持ち上げるようにして承扶を押しましょう。
5.水太り、下痢などが多いむくみ冷え
お腹やお尻が特に冷えてしまうのがこのタイプです。
「水」が滞っているとなりがちです。
下半身の筋肉がないことも原因のひとつなので、筋トレで改善することもあります。
お風呂ではゆっくりと湯船に浸かるのがおすすめです。
<むくみ冷えの特徴>
・上半身がほてって汗ばむ ・動いたり食事中に大汗をかく
・手や足、脇の下など部分的に汗をかく
・膀胱炎になりやすい ・頭痛持ち ・水分を良く摂る
・立ちくらみしやすい
<むくみ冷えの生理の特徴>
・月経周期は遅れ気味 ・生理痛は月経の初め頃にある
・レバー状のかたまりが沢山でる
・月経前、排卵日前後はむくみやすく、間接の腫れを起こしやすい
<むくみ冷えのお肌特徴>
・たるみやすい ・こめかみに青筋がたつ
<むくみ冷えの冷え症対策とツボ>
脚のだるさをやわらげる、むくみ解消ストレッチが効果的です。
脚を伸ばして座り、片脚を内側に曲げて4の字をつくります。
次に伸ばした方の脚の方へ状態をゆっくりと倒します。
手は状態と一緒に太ももから足先へすべらせます。左右行いましょう。
ふくらはぎのむくみを感じたら、「豊隆」を押しましょう。
豊隆はふくらはぎの外側で筋肉がいちばん盛り上がっているところにあるツボです。
むくみ解消に効果があると知られています。
親指で3秒から5秒押してゆっくりはなす、を何度か繰り替えして行ってください。
6.イライラして便秘がちな冷えのぼせ
下半身を中心にとにかく冷えているのに、自覚がないのが冷えのぼせです。
汗をかきやすく、かいた汗が冷えることでさらに冷えてしまいます。
「気」が逆上することでなりやすい冷えの一種です。
<冷えのぼせの特徴>
・突然ほてり上半身に汗をかく ・突然すーっと冷える
・ヒステリーを起こしやすい ・不眠がち
・よく不安や焦燥感に襲われる
・ゲップのようなこみ上げるお腹のハリをおこす
<冷えのぼせの生理の特徴>
・月経周期は安定しない ・生理痛はあまりない
・月経前、排卵日前後は過食になったり緒不安定になる
<冷えのぼせのお肌の特徴>
・ニキビができやすい ・脂が浮きやすい
<冷えのぼせの冷え症対策とツボ>
寝る前には、全身の力を抜いて腹式呼吸をするようにしましょう。
仰向けで大の字になり、手のひらを天井にむけて体の横におきましょう。
脚は肩幅に開いて、そのまま目を閉じてゆっくりと腹式呼吸をしてリラックスしてください。
そして、ツボは情緒不安定に効くとされる「神門」をマッサージしてください。
手のひら側の手首のいちばん小指側の端にあるツボが「神門」です。
どこででも手軽に押すことのできるツボなので、仕事中などストレスを感じることがあれば押しておきましょう。
冷えの6つの症状と冷え症のタイプ別対策法まとめ
6つのタイプ別の冷え症、いかがでしたか?
あなたはどの冷え症タイプに当てはまっていたでしょうか?
日常にみられる特徴や生理時の特徴をみるだけでも、自分の冷え症のタイプが分かってきたのではないでしょうか?
ツボ押しなどは、気が付いたらできるものもあるので頭に入れておいてください。
少しずつでも冷え症を緩和することは、未来の自分への奉仕だと思って頑張っていきましょうね。