なんだか疲れやすいし、身体もだるい・・・やる気も起こらない。
単なる体調不良と区別がつきにくいものの、それはもしかすると甲状腺異常が原因かもしれません。
甲状腺の病気にかかるのは、圧倒的に20代から30代の女性が多いんです。
女性なら知っておきたい甲状腺の基礎知識についてまとめます。
甲状腺とは
甲状腺は、のどぼとけの下にあります。
羽を広げた蝶々のような形をしているのが特徴で、大きさは3~4センチほど。
主な働きは、サイロキシンとトリヨードサイロニンという2種の甲状腺ホルモンを作り出すことです。
これらのホルモンは、簡単に言えば食物をエネルギーに変えて身体の新陳代謝を促す役割を持っています。
つまり、身体の細胞が活発に活動するためにはなくてはならないホルモンであり、甲状腺はいわば「元気のモト」を作り出している器官ということになります。
甲状腺異常か知るには?
甲状腺の病気の症状は、単なる体調不良に似ていてなかなか自分でも気が付きにくいのが特徴です。
首が腫れる、などのはっきりとした症状以外は「疲れやすい、だるい」という症状が大半で、甲状腺異常は発見が遅れがちなことが多いといわれています。
家族、家系に甲状腺異常の人がいたりする場合、遺伝の可能性もあるので、心当たりがある場合は専門医に診てもらうべき。
血液検査で、血中の甲状腺ホルモンを測ったり、エコーで見る程度の簡単な検査で異常があるかすぐわかります。
甲状腺にかかわる代表的な病気
甲状腺異常による病気は、代表的なものが2つあります。
バセドー病
●甲状腺の働きが活発になりすぎ、疲れやすくなる
バセドー病チェック ・体重減少 ・動悸 ・イライラする ・手が震える ・首が腫れる ・だるい ・眼球が出る ・汗が出る ・お腹をこわす |
バセドー病は甲状腺ホルモンが必要以上に作られてしまう病気。
甲状腺の病気の中では、比較的男性もなりやすいといわれていますが、患者の80%は女性です。
発症年齢のピークは、20~30代で、代謝がすすみ疲れやすかったり、動悸や手の震え、痩せてしまうという症状があらわれます。
甲状腺は腫れるので、首が太くなるということも。
バセドー病の人は、例えるなら常に走っている状態のようなものでとにかく疲れてしまうのが最大の特徴です。
眼球が出てしまうのは、20~30%程度の患者さんにみられます。
橋本病
●甲状腺に炎症がおき、甲状腺機能が低下
橋本病チェック ・手足がしびれる ・疲れやすい ・無気力 ・むくむ ・冷え症 ・太る ・首が腫れる ・便秘 ・声がかすれる ・皮膚が乾燥 |
橋本病は、「免疫」の異常により甲状腺に慢性の炎症がおきてしまう病気。
慢性甲状腺炎と呼ばれることもあります。
バセドー病に比べても、さらに女性の発症率が多く、なんとその差は20倍。
40代~50代の女性に多く、元気がなくなり、太り、冷え症になってしまうという症状があらわれます。
バセドー病の症状とは対極化しており、「元気のモト」がなくなってしまった状態なのでうつ病と間違われてしまうことも。
甲状腺は腫れるといっても比較的腫れがちいさく目立たないことが多いので痛み、喉の圧迫までを感じることはありません。
しこり
甲状腺にしこりができてしまう病気もあります。
大抵の場合、腺腫・腺腫様甲状腺腫などという良性の腫瘍であることがほとんどで、しこりの中身が液体の「のう胞」が多くみられます。
いずれも、甲状腺の機能に影響をおよぼすことはありませんが、ごくまれに悪性の場合もあるので、しこりを見つけたらエコー検査を受けましょう。
甲状腺異常の治療は?
甲状腺異常の治療は、薬での治療が大多数を占めます。
バセドー病であれば、甲状腺ホルモンの分泌を抑える薬、橋本病であれば、不足してしまう甲状腺ホルモンを薬剤で補っていきます。
ほとんどの患者さんが、薬物療法で日常生活が送れるようになりますが、バセドー病は、甲状腺の摘出手術が行われる場合も。
個人のライフスタイルや薬との相性などで治療法が選ばれていきます。