多くの日本人は「口呼吸」をしているといわれています。
いま、記事を読んでいるあなた。
口を開いて読んではいませんか?
あなたも無意識のうちに鼻呼吸ではなく口呼吸をしているかもしれません。
口呼吸の原因を知ってしっかりと治し、鼻呼吸できるようにしましょう。
鼻にはとっても重要な役割が沢山あります。
今回は口呼吸の原因、そして口呼吸を治してしっかりと鼻呼吸できるようにするトレーニングもご紹介します。
目次
「鼻」が持つ重要な役割を知ろう
呼吸に大きく関わっているのが、顔の中心にある「鼻」です。
鼻の奥の「鼻腔」の壁には上、中、下段からなる「鼻甲介(びこうかい)」という3段の棚のようなものがあり、吸い込んだ空気はここを通ります。
鼻が持つ大きな3つの役割
1.体内環境を守る究極の「空調管理」システム
空気清浄:私たちの吸う空気には、ほこりやゴミ、細菌などいろいろな異物が含まれています。
鼻毛や鼻の粘膜がこれらの異物の大部分を取り除きます。
温度調節:肺での呼吸には最適な空気の温度は約37度です。
鼻腔で空気を温めたり冷やしたりして、適度な温度調節を行っています。
加湿:乾燥した空気が肺に送られると、肺はダメージを受けやすくなります。
乾燥した空気が鼻に入ってくると鼻腔で湿り気を与えます。
2.空気を取り入れにおいを嗅ぐ
3段になっている鼻甲介の上段の天井には、「におい」を感知する嗅細胞(きゅうさいぼう)というものがあります。
空気中に含まれるにおい物質が嗅細胞に触れることで、嗅神経を通じ、脳にその刺激が伝わって「におい」を感じます。
においを嗅ぐときに鼻を「くんくん」とさせるのは、空気を強く吸い込み「におい物質」が、嗅細胞に早く到達するようにするため必然的にそうしているのです。
3.声の音量にも影響する
「鼻声」という言葉があるように、鼻は発声にも非常に大きく関わっています。
鼻腔には、声を鳴り響かせる働きがあります。
鼻腔に声を共鳴させると響きが明るくなり、声の音量も増します。
鼻呼吸をするべき理由とは?
私たちが「口呼吸」をするのはどんなときでしょうか?
一般に鼻がつまったとき、激しい運動をしたとき、外気が非常に高温だったり低温だったりするときなどですね。
つまり、口呼吸はあくまで鼻呼吸の補助であって通常の呼吸は「鼻」でするべきなのです。
口は鼻のような優れたシステムを備えていません。
そのため、口呼吸を行うと口の中が乾燥して、唾液による殺菌消毒作用が不十分になるというわけです。
また、空気中の細菌やウイルスが喉の奥にある免疫機能「扁桃(へんとう)」にダメージを与え、免疫力を低下させ様々な病気にかかるリスクを高めます。
なぜ口呼吸をしてしまうのか
口呼吸になる主な原因2つ
1.唇が閉じにくい
唇が閉じにくいと必然的に口は開きがちとなり、口呼吸をしてしまいます。
唇が閉じにくくなる主な原因として、乳児期に口唇閉鎖(こうしんへいさ)がきちんと習得できなかったり、高齢による唇や顔面筋の衰えなどがあげられます。
その他、歯並び、噛み合わせなどが悪い場合、アゴが小さい場合も唇が閉じにくくなってしまいます。
近年の子供には、アゴの小さい子は増えている傾向にあるようです。
2.鼻づまり
鼻づまりがあると、抵抗が大きくなるため鼻腔を通る空気の流れが悪くなるので、十分に空気を体内に取り込むことができません。
これでは、酸素不足になってしまうため、口呼吸により酸素を補おとしています。
鼻づまりの原因で最も多いのが、副鼻腔炎や風邪、アレルギー性鼻炎などの炎症で鼻粘膜が腫れるタイプです。
このような症状がある場合は、きちんと治療をして口呼吸が癖づいてしまわないようにしましょう。
最近の小さなお子様にも、アレルギー性鼻炎により口呼吸をする子が増えているようです。
お子様がいる場合は口呼吸をしていないか、一度しっかり確認してみましょう。
あなたは口呼吸?鼻呼吸?チェックテスト
以下の項目に一つでも思い当たる節があれば、あなたも口呼吸をしている可能性があります。
・気が付けば口を開けている
テレビを見たりスマホをいじったり、無意識な時に口が開いている人は要注意です。
・口が乾きやすいほうだ
口呼吸をすると、口や喉がとても乾燥しやすくなります。
・いびき
気道が狭くなると、いびきをかきやすくなり口呼吸となります。
・寝ているときに歯ぎしりをする
就寝中の歯ぎしりは、口呼吸を伴っておこっています。
・唇が乾燥して皮がめくれる
唇が口呼吸により乾燥すると、皮がめくれたりします。
・喉が弱く、風邪をひきやすい
口呼吸をしていると細菌やウイルスが喉の扁桃に作用して免疫力が低下します。
・鼻が詰まりやすい
長い年月、口呼吸をしていると鼻本来の機能は低下し、鼻がつまりやすくなります。
・口臭が強い
口呼吸によって口が乾燥すると、舌苔ができて口臭の原因になってしまいます。
・舌に歯型がつく
口呼吸では舌の位置が下がるので、舌が歯に強くあたり、歯型がついてしまいます。
・唾液の量が少ない
口呼吸は口を乾燥させる上に、唾液の分泌を減少させます。
日頃からしておきたい「鼻」の5つの正しいケア方法
鼻炎がちな方は要チェック
1.鼻の正しいかみ方
片方ずつかむのが基本です。
口から息をたっぷりと吸いこんでから口を閉じ、一度に力をいれずにゆっくりとかみます。
2.鼻うがい
市販の鼻洗浄機や洗浄液を使用すると簡単です。
下を向いて洗浄する側の反対側に顔を傾けるのがポイントです。
3.マスクのつけ方
マスクの「ひだ」は下向きに、針金が付いている方を上にして顔との間にできるだけ隙間ができないように装着しましょう。
4.点鼻薬の使い方
鼻をかみ、手を洗ってから点鼻薬を使用しましょう。
市販の点鼻薬は、使う頻度や期間に注意が必要です。
使用前には薬剤師に確認しましょう。
5.鼻づまりの応急処置
鼻づまりで眠れないときには、蒸しタオルを鼻にあててみましょう。
鼻孔が広がって、粘膜の血流がよくなるため鼻の通りがよくなります。
左右の小鼻の上にある「迎香(げいこう)」というツボ押しも効果的です。
口呼吸のなおし方~鼻呼吸になるためのトレーニング
舌や口の周囲の筋肉を鍛えることがカギ
1.ブローイング練習
コップに入った水に、ストローで息をブクブクと5秒間吹きストローくわえたまま、鼻から息を3秒吸ってください。
この動作を数回繰り返します。
呼吸筋を強化して、口と鼻の呼吸機能を切り替える練習になるので口呼吸改善にとても効果があります。
2.あいうべ体操
あいうべ体操とは、口を閉じたときの舌の位置を本来の正常な位置へと戻すための体操です。
大きく口を開き「あー」「いー」「うー」と口を大げさに動かしながら発音します。
最後に「べー」と舌を出来るだけ前に伸ばしてください。
あいうべ体操は、上記を1くくりとして1日50回程度行うのが理想的です。
3.タングアップ練習
舌の先を上の前歯のすぐ後ろの歯茎につけて、舌全体を上アゴの前方に密着させます。
舌で上アゴを覆うような状態になるため、口は喉と遮断され、空気は口の中を通ることができなくなります。
この状態で長くいられるようにしましょう。
・本来の正しい舌の位置とは
タングアップ練習で示したように、舌全体が上アゴに密着している状態が、本来の正しい舌の位置です。
舌が正しい位置にないと口呼吸になり、受け口や出っ歯になったり、歯並びが悪くなったり、発音や滑舌も悪くなります。
鼻呼吸のすすめ
私たちが生まれたときから1歳くらいまでは、鼻呼吸しかしていません。
その証拠に赤ちゃんは乳首や哺乳瓶を加えたままずっとミルクを吸い続けることができます。
ところが離乳食がはじまると、唇の開閉ができるようになり、はじめて口呼吸を覚えていくのです。
この時期にスプーンは、口をいったん閉じてから引き出すようにすると「口を閉じる」という動作を覚えさせることができます。
この記事を執筆している私自身、自分では鼻呼吸だ、と自信満々でいましたが、チェックテストにはいくつかあてはまるものが・・・。
テレビやPC、スマホをいじる際には必ず「口呼吸」をしていないか確認するクセをつけたいとも思いました。