一度できてしまったら、二度と完全に消すことはできない「妊娠線」。
産後も美しいお腹を保つためには、妊娠初期からのしっかりとした保湿ケアが最強の予防策です。
妊娠線ができるメカニズムを知り、保湿のテクニックや産後のケアまでしっかり学んで妊娠線予防をしていきましょう。
目次
妊娠線ができやすい人、できない人
妊婦さんのおよそ半分が妊娠線に悩んでいるのが実情です。
まったく妊娠線のケアをしないまま過ごしても妊娠線ができないのは、わずか1割程度くらいのものです。
そして、妊娠線予防は保湿ケアを開始する時期も大きく影響します。
妊娠5か月以前の、お腹が大きくなる前からしっかりと保湿ケアをしていれば、妊娠線は予防できるのです。
もちろん、妊娠線はつわりと同じように体質や遺伝的なものもありますが、一番重要なのは保湿ケアを早くはじめることにあります。
妊娠線ができるメカニズム
私たちが「皮膚」と呼んでいるのは、表面にある「表皮」を指しています。
この表皮というものは、限りなく伸びる性質を持ち合わせていますが、表皮の下にある「真皮」、「皮下組織」は表皮と比べると代謝も遅く厚みがあるために、もともと「伸び」がよくありません。
胎児が大きくなるにしたがってお腹が大きくなったり、急激に体重が増加すると表皮が急に伸びるので、真皮や皮下組織が追い付かず裂け目ができてしまいます。
まさにこれが妊娠線のはじまりです。
真皮が避けてしまうと、隙間ができて溝が生じます。
この溝の部分に表皮がひっぱられることで、凹んだ状態になるのが妊娠線なのです。
皮膚は、「表皮」、「真皮」、「皮下組織」という3構造になっています。
皮下組織は脂肪が増える分だけ厚みも増していきます。
はじめに「真皮」や「皮下組織」で断裂が生じ、表皮にもじわじわと裂け目が見えてきます。
妊娠線が赤色や紫色に見えるのは、皮膚の透過性によって毛細血管が見えているためです。
妊娠線がもっともできやすいのは、やはりお腹です。
胎児の成長とともにお腹が大きくなると、下腹部に重力がかかるので下腹部は特に妊娠線ができやすい部位といえます。
また、胸の側面、太ももなども見落としがちな部位です。
脂肪がつきやすい部位は、こまめに入念にチェックするようにしましょう。
妊娠線ができやすい人の特徴
妊娠線ができやすい人の特徴をあげると、
①皮下組織が厚い
②皮膚が乾燥している
の傾向がある人です。
急激に体重が増加して、皮下組織中の皮下脂肪量が増すと皮下組織は分厚くなっていきます。
そうすると更に伸びにくく、断裂を起こしてしまうことになります。
そして皮膚の乾燥も大きな要因。
紙も、湿っているとシワになりにくかったり、破れにくくなるように皮膚もしっとりと潤いがあるほうが伸びがよくなり、妊娠線予防につながります。
妊娠線の危険信号とは
真皮や皮下組織が断裂をおこすときに、表皮が引っ張られるのでかゆみを伴うことがあります。
これがまさに妊娠線ができる前兆!
かゆみを感じたらすぐに妊娠線ができるわけではありません。
かゆみを感じたら、保湿ケアを徹底的に行うようにしましょう。
妊娠線予防の保湿剤を選ぶには
妊娠線予防の保湿剤を選びにおいて重要なのは含まれている保湿成分。
引き締め成分や美白成分が含まれた妊娠線予防クリームなども多くありますが、妊娠中はお肌の免疫力が下がっているため低刺激なものを選ぶのがベストです。
ヒアルロン酸やセラミド、アミノ酸などが配合された保湿力メインの妊娠線予防クリームを選びましょう。
また上手にそのテクスチャーを使い分けるのも、しっかりとした妊娠線予防につながるポイント。
お肌に潤いを与えるためには、水分補給が必要不可欠です。
さらにその「水分」を保つために、油分のあるもので皮膚の表面に膜を張るのが効果的です。
化粧水とクリームなど、2種類を塗り分けるのもなかなか大変なので、水分補給をしながら膜を張ることができる「オイルインウォータータイプ」のものがおすすめです。
妊娠線予防クリームなどを塗る時間帯は、皮膚温度の高まっている入浴後が効果的です。
できれば1日2~3回は塗りなおすと、より高い効果が望めます。
妊娠線ができやすい場所や時期は?
潤ったお肌をキープしよう
妊娠線ができやすい時期
妊娠線ができやすい時期は、妊娠30週前後から。
つわりなども終わり食欲が増してくる妊娠5カ月からは、急激に体重が増えたりするために妊娠線ができやすくなります。
また赤ちゃんがぐんぐんと成長する8カ月、9カ月くらいも要注意です。
また双子など多胎妊娠は皮膚が早い時期から伸ばされるので気をつけましょう。
妊娠線は皮膚の内側の断裂から始まるので、表面に見えていなくてもジワリジワリと進行している可能性もあります。
早いと5カ月くらいから妊娠線ができることもあり、ピークは8カ月くらい。
妊娠線予防はいかに早くはじめるか、がカギなのです。
妊娠線ができやすい場所
妊娠線は、どうしても脂肪がつきやすい所や乾燥しやすい部位にできてしまいます。
お腹、お尻、胸、二の腕、太ももなどは脂肪層が厚く妊娠線ができやすい部位です。
そして最もできやすい下腹部は下から上へ向けて、円を描くようにやさしく塗り込んでいきましょう。
妊娠線予防クリームなどは、直接お肌に塗らずに一旦手のひらで馴染ませましょう。
手の温度によって、お肌のクリームの浸透力がアップします。
産後、妊娠線はどうなるの?
妊娠線はできてしまうと、もう消すことはできません。
しかし、完全に消すことが不可能でも目立たなくすることは可能です。
赤色、紫色の妊娠線は産後3カ月くらいになると、ピンク色になり半年ほどたてば白っぽくなり、最終的には白い線が薄くなったようになるためあまり目立たなくなっていくものです。
ですが、傷が治っていく過程と同じように、妊娠線自体は白くなっていくものの表面の独特の光沢は残ってしまうのがほとんど。
断裂した真皮や皮下組織はそのままの状態で固まってしまうため、元に戻ることはありません。
しかしながら妊娠線で凹んでしまった表皮は、きちんとケアすることで回復を早めることはできます。
産後も気を抜かずに保湿ケアを継続して、皮膚の活性化を高めるように運動なども取り入れながらお手入れをしていくことが大切なのです。
妊娠線のレーザー治療、ピーリング
徹底的に妊娠線を消し去りたいのなら、メディカルな方法も視野にいれておきましょう。
完全に妊娠線を消してしまうことは医療をもってもなかなか困難なものですが、かなり目立たなくすることが可能です。
自宅で自分でケアする以上の効果を求めるのであれば、出産後体調が落ち着いてから皮膚科や形成外科へ足を運んでみては?
しかし、授乳中や帝王切開後はすぐ治療を行えないケースもあるので、必ず事前に医師と相談しましょう。