進学、就職、転職、異動。
何かと転機となる出来事が増えるのが春。
大型の連休であるゴールデンウィークが明けたころになると、季節は気持ちのいい初夏のはずなのに、どうしてもやる気が起きない。
そんな経験をしたことのある人は多いと思います。
これはまさに「五月病」。
もしかして五月病かも?と自身で思ったり、近しい人間に五月病なのでは?という人がいるなら、ちょっと読んでみてください。
目次
五月病ってどんなもの?
五月病といえば、大抵の人がなんとなく概要をわかるくらい定着している言葉ですが、実は医学用語でもなく、きちんとした明確な定義もありません。
ですが、この時期の「なんともやる気がでない」その状態を、「気のせい」とか「根性なし」と簡単に片づけてしまうのは危険です。
疲れが取れない、朝からだるく動きたくない、そんな日々が継続するなら五月病なのかもしれません。
一旦症状が出てしまったら、やはりこれは「病気」またはその1つまえの段階ということ。
きちんと対処していくことが肝心です。
五月病は適応障害の一種
五月病に、あえて名をつけるのなら「適応障害の一種」か「そのまえの段階」です。
五月病は、環境の変化が原因となって3カ月以内に何等かの症状が出てきます。
もともと五月病とは、受験戦争や就職活動、長年打ち込んできた何かの終焉などを乗り越えた人が、それらが一段落したときに「目標」や「自分自身の存在意義」などを見失ってしまう「燃え尽き症候群」を指して生まれた名前だともいわれています。
最近の五月病の特徴
最近では、燃え尽き症候群よりもむしろ新たな環境での「新しい人間関係の構築」にストレスを感じて起こることが増えていると言われています。
そのため、新入社員や転職、異動した人のみならず、リストラや本意でない転職などの増えている中高年層にも、五月病の症状を発症する人が増加しています。
もっとも原因となりやすい環境の変化も、最近では多種多様。
そのため、昔よりも5月に集中することは少なくなっています。
一般的な五月病の症状
心だけでなく体にも何かしらサインが出てくるのが五月病の特徴。
また、心の症状は何もないのに体にだけトラブルが起きることもあります。
原因不明の体調不良が、五月病ということもあるのです。
心の症状
なぜか元気が出ない、だるくて疲れやすい、意欲がわかない、外出が億劫、などいわゆる「鬱」の状態に。
こうなると集中力も低下するので、仕事や勉強などがはかどらなくなることもあります。
朝起きて、会社や学校に「行きたくない」と心底思っても、周りからは「怠け」とみられてしまいがちです。
そして自分でも「怠けグセかな」と自覚しにくいという難点も。
体の症状
体がなんとなくだるい・・・という不調以外にも、具体的な症状が現れる場合があります。
例をあげると、微熱の継続、頭痛、腹痛、肩こり、下痢など。
心の症状が出ていない状況だと、自分が五月病であるということも気が付きにくくなります。
どんな検査をしても異常が見つからない、と内科受診から心療内科にうつって自分の状況を知る人も少なくありません。
五月病は病院で受診が必要?
五月病みたいな感じがする・・・
と思っていても、病気か否かの判断基準は社会性が維持できているかどうかが判断基準になります。
朝起きて、だるい、つらいと思いながらもなんとかギリギリ職場などに間に合う、という人はまだ健康な範囲であるといえます。
しかし、遅刻の増加や休みがちになるなどしてくると注意が必要です。
もしも会社や学校などに行けない日が続いてしまうのなら、心療内科を受診してみるのもひとつの手です。
心療内科において、ストレスを引き起こしている原因をつきとめるだけでも、だいぶ症状は楽になってきます。
症状が悪化しているのに、何も対処しないで無理しているとうつ病になってしまうこともあります。
五月病の自分でできる対処法
出来るなら、ストレスのかかる原因そのものをごっそりとなくしてしまいたいもの。
しかし、現実的にはなかなかそうはいきません。
自分でできる対処法は、とにかくまず休むことです。
そして睡眠をたっぷりとることも重要です。
特に五月病になり始めや、回復しだした時期には積極的に「気分転換」することを心がけましょう。
とにかく好きなことに打ち込む、昔ながらの友人とおしゃべりしたりカラオケに興じるのもいいでしょう。
質のよい睡眠をとるためには、できるだけ体を動かすことも必要です。
また何らかの新しい目標を掲げることも五月病の症状の改善に役立ちます。
五月病とうつ病との違い
うつ状態がイコールうつ病だと考える人は多い。
でも実はその考え方は間違いです。
うつ状態を引き起こす原因の1つに五月病などの適応障害があり、うつ病とはまた別の要因としてあるものです。
同じような症状がみられても、五月病とうつ病は異なるものであるということ。
うつ状態になる要因には、「身近な人の死」や「大失恋」などの大きな出来事や、また元々悲観的な性格であるなとも考えられます。
五月病を含めた適応障害には、必ずその原因があるものです。
しかし、一方でうつ病には原因はなく「周期的」にうつの症状が出ます。
うつ病になった原因は大失恋で・・・
などと思い込む人もいますが、一見原因に見えるようなことであっても、うつ病の場合はあくまで「きっかけ」にしか過ぎないのです。
五月病の原因は人それぞれ
大半の人は環境の変化に伴う「人間関係」のストレスです。
女性の場合は、妊娠や出産、介護、引っ越しなどで周囲を取り巻く人間が変わる、なども原因になります。
五月病には真面目で責任感が強く、物事の白黒をはっきりとさせたい人ほどなりやすいといえます。
そしてストレスへの抵抗力が弱いという傾向もあります。
最近の若い世代は昔の人に比べて、怒られ慣れていません。
ちょっと強い口調で上司に注意されたら、自分の人格まで否定されたと思い込んでしまうこともあるのです。
五月病の人にかけるべき言葉
うつ状態の人に直面したらつい口から出てしまいそうな「頑張って」という言葉。
実はこの「頑張って」は最も言ってはいけない言葉といわれています。
頑張っては、「努力が足りない」とか「怠けていると思われている」と取られがち。
うつ状態になり五月病と思われる人には、「そのままの自分でいいんだよ」ということを伝えたいです。
そして、そうなってしまった原因は「誰のせいでもない」ということも重要。
五月病かな、と思ったら聞き上手な長年の友人とじっくり話ができるといいですね。