ひと昔前のダイエットといえば、カロリーオフを大前提としたものでした。
しかし、ここ数年はカロリーオフから「糖質オフ」へとその注目が移り変わっています。
糖質は基本的に体内でブドウ糖になり、エネルギー源となりますが現代人は1日の活動では消費しきれないほどの糖質を摂取している、という点に注目されたからです。
特に、日本人は欧米人よりも血糖値をさげるインスリンの分泌が少ないので、糖質を摂取すると血糖があがりやすく、糖尿病を発症する危険性が高いとも考えられています。
こういった考えが、科学的に確定しているとはいえ摂取する糖質を0にするのはおすすめできません。
糖質をまったく取らない人の心電図の異常や血管内皮細胞の障害が起きたケースもあるのです。
勘違いちがちな、糖質制限ダイエットで炭水化物をごっそり抜いてしまうと、食物繊維不足も問題になってきます。
糖質はあくまで緩やかに制限し、血糖値を上げない食事法を学ぶことが重要。
最近ではロカボとも呼ばれるこの食事法に注目が集まっています。
目次
ロカボとは?
糖尿病の方の食事療法のなかで「ローカーボ」というものがあります。
糖尿病になると血糖値を上げないように、食事をすることが重要になってきます。
その中で推奨されたのが、「ローカーボ(a low-carbohydrate)低炭水化物」という方法でした。
ローカーボダイエットなどとして知られ、糖尿病でない人も自己流ダイエットに取り入れる人が多かったのではないでしょうか?
しかし、これを安易にとらえた人のなかには、肉食ブームもともなって赤身肉はいくら食べてもよい、とかとにかく炭水化物を抜いて痩せようという考えがひろまってしまったようです。
いま、注目を集めている「ロカボ」とはローカーボよりも緩やかな糖質制限食を用いて、おいしく食べながら健康でいられるよう考案された、正しい糖質制限食のことをいいます。
提案されたのは北里大学の糖尿病センター長である、山田悟先生です。
糖尿病を熟知された先生が提案される、このロカボ。
しっかりとマスターして、健康的にダイエットしましょう。
ロカボの基本
ロカボの1日三大栄養素摂取量の目安
1.糖質
スイーツ類、イモ、穀類に多く含まれる
一食あたりの摂取量は、20~40gが理想的です。
そして、一日の合計摂取量は70~130gくらいにしましょう。
砂糖など、わかりやすく甘いものの他にも、お米や小麦などの穀類やイモ類にも多く含まれています。
一食あたりの白米は、一般的な一善の半分くらいにしましょう。
2.たんぱく質
肉や魚、卵、大豆製品に多く含まれる
たっぷりと摂取してほしいのがたんぱく質。
ある程度のトレーニングを日々行う女性であれば、1日あたり60gくらいを目指しましょう。
毎日、必ずお肉、お魚、卵や大豆製品を摂り、良質なたんぱく質を摂取しましょう。
3.脂質
油脂は積極的に摂取しても問題はありません。
心臓病や脳卒中が予防できるといわれているオリーブオイルなら一週間に1リットル、ナッツ類も間食として1日に30gくらい摂取しましょう。
ただし、トランス脂肪酸、酸化した古い油は決して口に入れないようにしましょう。
ロカボを実行していきたいのなら、スイーツやアルコールはなるべく我慢しましょう。
どうしてもという時も、許されるのは1日10gまで。
そして、たんぱく質を脂質を積極的に摂ることに加え適度なトレーニングを行うことで、基礎代謝があがり体に筋肉がついてきます。
トレーニングはもちろん大事なポイントですが、実はエネルギー消費の6割は基礎代謝によって決まっています。
つまり、がむしゃらにトレーニングすることよりも、適度に筋肉をつけた基礎代謝の高いからだつくりが先決というわけです。
痩せやすい体、筋肉をつけるには
筋肉をつけるのに重要なたんぱく質。
ダイエットもかねていると、植物性ばかり摂取したほうがよいのでは?と思ってしまうかもしれませんが、これは間違い。
たんぱく質は、豆腐などの植物性のたんぱく質よりお肉やお魚といった動物性のたんぱく質のほうが筋肉になりやすいと考えられています。
加えて、鶏肉がヘルシーと思いきや、筋肉形成には牛や豚などの四つ足動物のお肉の方がベター。
そして、お肉をしっかりと摂取すると、炭水化物で満腹になったときよりも満腹感が持続します。
糖質は2時間もするとお腹がすいてしまいます・・・これが糖質を摂りすぎてしまう原因のひとつでもあります。
ロカボの1日の食事サンプル
3食ともに、ポイントをおさえよう
朝食
朝食のポイントは、糖質を摂りすぎないこと。
朝はとても血糖値があがりやすいので、果物のスムージーなどを飲むと急激に上がります。
糖質は、8枚切りのトースト一枚が理想的。
そこにたんぱく質摂取のため、チーズをのせたりゆで卵やスクランブルエッグを一緒に食べましょう。
朝食メニュー
・8枚切りトースト1枚(バターを塗るのはOK) ・スライスチーズ1枚
・卵1個 ・ウインナー1本 ・サラダ(オリーブオイルOK)
朝食を抜くのは絶対にNG。
朝食を抜いてしまうと、昼食後に思い切り血糖値が急上昇してしまいます。
3食食べることで血糖値も安定するので、結果的に痩せやすいからだづくりにつながります。
そして、一時話題だった「朝カレー」は避けましょう。
ルーは小麦粉でできており、白米もオーソドックスな具であるじゃがいもも糖質が非常に多いので要注意です。
昼食
白米は、一般的な量の半分にすること。
そして、昼食時にはしっかりとたんぱく質を摂ることを意識しましょう。
プラス、食物繊維を摂り入れると理想的です。
昼食メニュー
・サンマの塩焼き1尾 ・から揚げ中サイズ2個 ・豚汁(油揚げ、肉)
・ひじきの煮物の小鉢(食物繊維) ・白米半分
煮物にはみりんや砂糖が多く使われていることも多いので、味付けには注意も必要です。
また、白米でなく玄米や十穀米なら量を食べても大丈夫という考えはちょっと違うようです。
実際には、血糖値上昇の抑制効果はわずかなもので、糖質量は白米と変わりません。
また、パンを昼食で食べたいなら小麦の表皮だけが使用されている「ふすまパン」を選びましょう。
全粒粉パンは、一般的なパンと糖質量が変わらないので要注意。
夕食
夕食も、白米の量は一般的なものの半分で。
おかずには、しっかりたんぱく質を摂りましょう。
ダイエット中は敬遠しがちな、ステーキや焼き肉も、味付けさえ選べば問題ありません。
夕食メニュー
・牛サーロイン100g(大根おろし醤油) ・じゃこ豆腐(ごまだれ)サラダ ・白米半分
栄養学では、たんぱく質の摂取量の上限は設定されていません。
つまり、どれだけ食べてもいいですよ、ということ。
人間はロカボ食を意識して、満腹になるまでたんぱく質を摂取しても、およそ体重1キロあたり1.6gなんだそう。
さらに、懸念されていたたんぱく質の摂りすぎで腎臓が傷む、というトラブルは人間では起こりえないと考えられるそうです。
どうして糖質は太ってしまうのか?
ぽっこりと出たお腹の脂肪は、油ではなく糖質から作られています。
なぜなら、油よりも糖質のほうが体脂肪に変わりやすいから。
体内に入った糖質は、すぐ使用されない場合は肝臓か筋肉、もしくは組織細胞に任せられます。
一方でトカボを続けると脂肪がエネルギー源になっていき、脂肪燃焼しやすい体になっていきます。
そして、ありがたいことに、脂肪の中でもがんなどの病気につながりやすい内臓脂肪を落とすことができるのです。
ロカボはとり入れやすい
ロカボは、とても簡単にとり入れやすい食事法なのではないでしょうか?
まったく炭水化物を食べない、という概念は捨てて、まず白米は半分に、パンもよく見極めて、と簡単な気持ちでとりかかるだけでも、ロカボは始められます。
食欲の秋も、楽しみつつ、ロカボでこっそりダイエット生活をはじめましょう。